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介護に役立つ心理学: 親の行動を理解するための行動分析

認知症ケア

こんにちは。

「何度言ってもお風呂に入ってくれない」

「さっき食べたばかりなのに『ご飯はまだ?』って聞かれる」

「同じことを何度も繰り返す」…

親の行動に「なんでこんなことするんだろう?」と頭を抱えること、ありますよね。

一生懸命やっているのに、親の行動のせいでイライラしたり、悲しくなったり。

でも、実はその「困った行動」の裏には、私たちが知らない親なりの理由や心理が隠されている

ことが多いんです。

今回は、介護に役立つ心理学、特に「行動分析学」の考え方をご紹介します。

このヒントを知るだけで、親の行動の見え方がガラッと変わって

気持ちが少し楽になるかもしれません。

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「行動分析」ってどんなもの?

「行動分析学」と聞くと、なんだか学者さんみたいで堅苦しいイメージがあるかもしれませんね。

でも、すごくシンプルなんです。

行動分析とは、「人の行動には必ず理由がある」という前提に立って、その背景をほどくための

考え方です。

すごく簡単に言うと、「どんな時に、どんな行動をして、その結果どうなったか?」という

3つの流れ(ABC分析)で行動を理解するツールだと思ってください。

・A(Antecedent):きっかけ
・B(Behavior):行動
・C(Consequence):結果

親の行動を「困った行動」と捉える前に、

「親はこの行動で何を伝えようとしているのかな?」と考えるのが行動分析の第一歩です。

行動には必ず理由があります。

このABCの流れを意識するだけで、親の行動の「ナゾ」が解き明かされていきますよ。

ABC分析をやってみよう!

【例1】「お風呂に入りたがらない」行動

  • A (きっかけ):あなたが「お風呂の時間だよ」と声をかけた。
  • B (行動):親が「イヤだ!後で!」と強く拒否した。
  • C (結果):あなたが「じゃあ、今日はやめとくか…」と引き下がった(お風呂に入らなくて済んだ)。

この場合、親は「強く拒否する」という行動(B)をとることで、

「お風呂に入らなくて済む」(C)という親にとって良い結果を得ています。

つまり、親は無意識のうちに「拒否すれば、お風呂を避けられる」ということを学んでいる可能性

があるんです。

【例2】「何度も同じことを聞く」行動

  • A (きっかけ):親が一人でリビングで座っていた(暇を持て余していた)。
  • B (行動):親が「今日のご飯はまだ?」と質問した。
  • C (結果):あなたが「さっき食べたでしょ!」と少しイライラしながらも返事をした(親に関心や注意が向けられた)。

この行動の目的は、「ご飯が食べたい」ことだけではないかもしれません。

行動の結果として「あなたからの関心(C)」を得られているため、

親は寂しさや退屈を埋めるために、この質問(B)を繰り返している可能性があるんです。

親の行動は、「単なるわがまま」ではなく、「その行動によって何かを得ている」という視点が

見えてきませんか?

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行動を繰り返すワケは? 「強化のメカニズム」で親の行動の目的を知ろう!

なぜ、親はその行動を繰り返すのか?

では、ABC分析のC(結果)に焦点を当てて、

「行動が繰り返されるメカニズム」をさらに深掘りしていきます。

それが行動分析学で最も重要な考え方の一つ、「強化(きょうか)」です。

強化とは、「行動の直後に起こる結果によって、その行動が将来も繰り返される確率が高まる

こと」を言います。

親がどんな行動を繰り返すかは、その行動によって

「何を得ているか(または、何を避けられているか)」にかかっているんです。

行動を増やす2つの「強化」

強化には、「ポジティブ(プラス)」と「ネガティブ(マイナス)」の2種類がありますが、

どちらも「行動を増やす」効果があります。

ちょっとややこしいので、簡単に説明しますね。

1. 正の強化: 良いことが起きて、行動が増える

  • メカニズム:行動をした結果、何か良いものが(注目、食べ物など)与えられることで、その行動が増える。
  • 介護の場合:親が「痛い、痛い」と訴える(B)→ あなたがすぐに駆けつけて「どうしたの?」と優しく声をかける(C/関心の提示)→ 親は関心を得るために、「痛い」と訴える行動が増える。
  • 親の目的:「何か(関心、食べ物など)を求める」

2. 負の強化: 嫌なことがなくなって、行動が増える

  • メカニズム:行動をした結果、何か嫌なものが(お風呂、課題など)取り除かれることで、その行動が増える。
  • 介護の場合:入浴を勧められた親が大声でわめく(B)→ あなたが「うるさいからもういい!」と入浴をあきらめる(C/嫌なことの除去)→ 親は入浴を避けるために、「わめく」行動が増える。
  • 親の目的:「何か(嫌なこと、つらい状況)を避ける」

特に介護では、この「負の強化」が絡んだ行動が多いです。

親が「拒否する」「怒鳴る」といった困った行動をとることで、

嫌なこと(着替え、入浴、運動など)を避けている場合があるんです。

困った行動を減らす「消去」と「罰」

逆に、行動を減らしたいときはどうでしょう? 主に「消去」と「罰」の2つの考え方があります。

1. 消去: 無視して、行動をなくしていく

  • メカニズム:これまで行動の結果として得られていた良いこと(C)を与えなくなることで、その行動が徐々に減っていく。
  • 介護の場合:親が大声で独り言を言う(B/正の強化で関心を得ていた)→ あなたが反応せず、無視する(C/関心を与えない)→ 親は関心が得られないため、独り言が徐々に減る。
  • 注意点:一時的に行動がエスカレートする「バースト」が起こりやすいので、安全を確保しつつ、根気強く続ける必要があります。

2. 罰: 嫌なことが起きて、行動が減る

  • メカニズム:行動をした結果、嫌なこと(叱責、不快な刺激など)が与えられることで、その行動が減る。
  • 介護では:罰は一時的に効果があっても、親子の関係を悪化させたり、親が怒りを抑圧したりするなど、マイナス面が非常に大きいため、極力使わないことが推奨されています。

親の「困った行動」は、親なりの「目的」を達成するための無意識の学びの結果だったんですね。

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「困った行動」を減らす具体的な接し方と環境設定のコツ

親の「困った行動」を減らす実践テクニック

では、これまでの知識を活かして、私たちが今日からできる具体的な行動の改善方法についてお話しします。目標は2つ。

  1. 困った行動(不適切な行動)を減らす
  2. 望ましい行動(適切な行動)を増やす

「罰」を使わずに、親子の関係を良くしながら行動を変える、優しい方法ですよ。

困った行動は「消去」+「代替行動の強化」で対処する

これまでお話ししたように、親の困った行動(例えば、関心を得るために大声を出すなど)の

多くは、正の強化(関心や注目を得る)か、負の強化(嫌なことを避ける)で維持されています

1. 関心や注目を求める行動の場合(正の強化)

親がわざとらしい行動や困った行動をした時、私たちはつい反応してしまいますが、

それが親にとっては「関心」というご褒美になっています。

  • 【消去】で減らす:困った行動をした時は、感情的にならず、静かに反応しない(C/ご褒美をなくす)。安全に関わること以外は、過剰に構わないように意識してみましょう。
  • 【強化】で増やす:代わりに、適切な行動(例:静かに座っている、穏やかに話しかける)をした時を見逃さず、「静かにしていてくれてありがとう」「落ち着いているね」とすぐに褒めたり、話を聞いたりして(C/ご褒美を与える)、望ましい行動を増やします。

2. 嫌なことを避ける行動の場合(負の強化)

お風呂や着替えなど、親にとって負担や不快な作業を拒否する行動の場合です。

  • 【A/きっかけ】を変える:親が拒否する前に、お風呂の温度を少し上げる、お気に入りのタオルを用意するなど、嫌なこと(不快)を減らすように環境を整えます。
  • 【B/行動】を小さくする:いきなり「全部やる」のではなく、「まずは手だけ洗おうか」「服の上着だけ脱いでみよう」など、行動のハードルを下げて、「やれた!」という成功体験を積み重ねます。
  • 【強化】で増やす:「手だけ洗えたね!偉い!」と褒めることで、「拒否しなくても済むし、褒められて気持ちいい」という流れを作ります。

困った行動を起こさせないための「環境設定」

行動分析学では、行動が起こる前のA(きっかけ)を整えることが非常に重要だと考えられています。

困った行動は、それを引き起こす「環境」から変えるのが、一番穏やかで効果的な方法です。

  • 手が届く場所に置く:何度も「あれはどこ?」と聞かれるなら、探しているものを手の届く場所、目立つ場所に置いておく。
  • ヒマをなくす:退屈は「何度も質問する」などの関心要求行動を引き起こします。折り紙、塗り絵、昔のアルバムなど、一人でできる活動を用意しておく。
  • 手順を視覚化:着替えやお風呂の手順を写真や絵で貼っておくと、「なんでやらないの?」と声をかけるきっかけ(A)を減らせます。
  • 生活リズムを整える:毎日同じ時間に起きる、食事をするなど、決まったスケジュールは親の不安を減らし、落ち着きをもたらします。
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最後に: 理解が増えるだけで、介護は少しラクになる

いかがでしたか?

ちょっとややこしかったかもしれませんね。

二度、三度と読んでみると、より理解が深まると思いますので

お時間がありましたらぜひ読み返してみて下さい。

行動分析は、親の行動を理解し、より良い介護へ繋げるための強力なツールです。

親の行動を「病気や認知症のせい」と片付けるのではなく、

「この行動は何を得るためにやっているんだろう?」と一歩引いて観察してみてください。

その冷静な視点こそが、あなたの介護の負担を減らし、

親子の関係をより穏やかにする大きなカギになりますよ。

応援しています。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

こちらの記事もどうぞ

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参考

  • 「行動分析学入門」杉山尚子
  • 「ABC分析とは何かわかりやすく解説ー行動について考える心理学」サポートメンタルヘルス
  • 「行動分析学」こころの科学
  • 「応用行動分析学と拓く新たな人間理解」日本心理学会
  • 「応用行動分析学とは」kaien

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