こんにちは。
今回は「認知症の方の口腔ケア」についてお話しします。
認知症の方の日常生活を支える介護の中でも、口のケアはとっても大切。
それは、口の中を清潔に保つことが、全身の健康に直結しているからです。
認知症になると、自分で歯を磨くことやうがいをすることが難しくなることもあります。
口のケアがおろそかになると、むし歯や歯周病のリスクが上がるだけでなく、
食べ物をしっかり噛めなくなったり、誤嚥(ごえん)を起こして肺炎になる危険もあるんですよ。

なぜ認知症の方に口腔ケアが大切なの?
認知症が進むと、歯磨きの必要性を忘れてしまったり、磨くという動作が難しくなったりします。
そんな時期は、“歯をきれいに保つこと”よりも、
“気持ちよく生活してもらうこと”が第一です。
口腔ケアが必要な理由には、こんなものがあります。
まず、食べ物の残りかすが口の中に残りやすくなるため、虫歯や歯周病になりやすくなります。
歯周病が悪化すると、食事が痛くて嫌になり、
結果的に栄養状態が悪くなってしまうこともあります。
さらに大きいのは、誤嚥性肺炎のリスクです。
口の中にいる細菌が肺に入り込むことで起きるものですが、
認知症の方は飲み込む動作が弱くなるため、その危険性がぐっと高まります。
「口の中をきれいにするだけで病気が防げる」
そう考えると、できる範囲で丁寧にケアしてあげたい気持ちが湧いてきますよね。
認知症の方が口腔ケアを嫌がる理由
いざ歯磨きをしようと思っても、手で払いのけられたり、口を固く閉じられたり…。
そんな時、「どうしてこんなに嫌がるの?」と戸惑う方も多いと思います。
でも、その反応にはいくつか理由があるんです。
まず、歯ブラシやスポンジブラシが「何をされる道具なのか分からない」ことがあります。
認知症の方にとっては、突然口元に入ってくるものは不安の対象なんです。
また、痛い経験を覚えているために、無意識に防御反応として拒否してしまうこともあります。
「前にちょっと痛かった」「冷たかった」
その小さな記憶が、嫌がる理由になっている場合もあります。
そしてもう1つ大事なのが、ケアをする側の「急いで終わらせたい」という気持ちが、
動作として伝わってしまっていること。
バタバタとした空気は、相手にも伝わりやすいんです。
なので、まずは“安心してもらう”ことが、ケアの第一歩になります。
[PR]安心してもらうための声かけのコツ
口腔ケアの成功は、
「どれだけ安心してもらえるか」にかかっていると言っても過言ではありません。
認知症の方は、こちらが思っている以上に相手の雰囲気や声色を敏感に受け止めます。
まずはゆっくり目線を合わせて、
「ちょっとお口をきれいにしますね」「痛くないようにしますからね」
と優しく伝えてあげてください。
たったこれだけで、表情がふっと緩むことがあります。
声かけは“実況中継スタイル”がポイントです。
「いま右のほうを触りますね」「そーっと歯を磨きますよ」など、
何をするのかを言葉で示すと安心につながります。
実践しやすい口腔ケアのステップ
ここでは、日常の中で取り入れやすい手順をやさしくまとめてみました。
特別な道具がなくてもできることばかりなので、気負わずに始めてみてくださいね。
まずはお口の状態チェック
いきなり歯磨きに入るのではなく、まずは口の中をじっくり観察します。
乾燥していないか、舌に白い苔(舌苔)がついていないか、傷はないかなど、
軽く確認するだけでOKです。
この段階で無理に触る必要はありません。
ケアの前にそっと様子を見ておくだけで、後のトラブルを防ぎやすくなります。
口の中をうるおす
乾燥していると、ちょっと触れただけでも痛みにつながったり、粘膜が傷つきやすくなります。
スポンジブラシやガーゼを使って水や保湿ジェルで口の中を軽く湿らせるだけでも、
すごく磨きやすくなります。
この「うるおしステップ」、実はかなり大事。
認知症の方にとっても、ひんやり気持ちよく感じられることが多く、
「あれ?なんか気持ちいいかも」という反応が返ってくることもあります。
歯磨きは“優しさ8割”で
歯ブラシは小さめで柔らかい毛がおすすめです。
ゴシゴシ動かそうとすると嫌がられやすく、こちらも疲れてしまうので、
軽く小刻みに動かすだけでOK。
特に前歯の裏や奥歯の噛む面は汚れが残りやすいため、そっと時間をかけてあげると良いですよ。
「ゆっくりね」「もう少しですよ」と優しい声かけを添えると、
安心して口を開けてくれる確率高めです。笑
舌のケアも忘れずに
舌に白く苔のようなものがついていることがありますが、これは食べかすや細菌が集まったもの。
誤嚥性肺炎の原因にもなるため、できれば取り除いておきたい部分です。
舌ブラシや濡れたガーゼで、後ろから手前に向かってゆっくり動かすのがコツです。
舌はとても敏感なので、くすぐったい気持ちになる方も多いんですよね。
そんな時は「くすぐったいよね、ごめんね」と声をかけつつ、
無理せず短時間で済ませて下さいね。
[PR]口腔ケアをラクにするための工夫
毎日のケアだからこそ、無理なく続けられる工夫が大切です。
少し手を加えるだけで、認知症の方の負担も、ケアする側のストレスもぐんと減ります。
まず、ケアする時間帯を「ご本人が落ち着いているタイミング」に合わせること。
朝が苦手なら夕方に、食後がバタバタしやすいなら少し時間を置いてから。
無理に“決まった時間”にこだわる必要はありません。
また、好きな音楽を流したり、テレビをつけて気をそらすのも意外と効果があります。
何かに集中していると、口腔ケアへの抵抗が少なくなる方も多いんですよね。
ケアの道具を事前にそろえておくことも、スムーズに進めるコツです。
歯ブラシ、スポンジブラシ、ガーゼ、口腔保湿ジェル、コップなどを
すぐ取り出せるようにしておくと、準備の手間がグッと減ります。
どうしても拒否が強い時の対処法
どれだけ工夫しても、「今日はどうしても無理…」という日、ありますよね。
そんな日は無理をしないほうがいい場合もあります。
ケアを強行すると、次からもっと拒否が強くなってしまうことがあるからです。
どうしても予定を変えられない場合は、ほんの少しだけに範囲を絞るのも方法です。
例えば「前歯だけ」「舌の乾燥だけ」など、短時間で終わらせる形にすることで、
負担を軽くできます。
痛みがある場合や急に拒否が強くなった場合は、口内炎、歯ぐきの腫れ、入れ歯の不具合などが
隠れていることもあります。
違和感が続くようなら、歯科受診を検討してみてくださいね。
[PR]入れ歯のケアも忘れずに
認知症の方の中には入れ歯を使っている方も多いですが、
入れ歯の管理は意外と見落とされがちです。
汚れがついたままだと食事がしにくくなるだけでなく、口臭や炎症の原因になりやすいんです。
食後は軽く水洗い、夜は外して洗浄剤につけ置きするのが基本です。
もし入れ歯を外すことを嫌がる場合は、ご本人のペースに合わせつつ、
無理せず少しずつ慣れてもらえるようにしましょう。
在宅でも歯科のサポートを利用できます
「家では限界かも…」と感じた時は、訪問歯科の利用も選択肢になります。
歯医者さんが自宅まで来てくれて、プロがケアしてくれるので、
無理なく清潔を保つことができます。
訪問歯科では、歯磨き指導や入れ歯の調整、口腔状態の確認などをしてくれます。
かかりつけの歯医者さんやケアマネジャーに相談すると、
利用できるサービスを案内してくれますよ。
最後に
認知症の方の口腔ケアは、ただ歯を磨くだけの行為ではありません。
安心してご飯を食べられるように、気持ちよく過ごしてもらうための、
やさしい時間づくりでもあります。
うまくいかない日もあって当然です。
ときには「今日はここまでにしよう」と手を止めても大丈夫。
頑張るあなたの気持ちは、きっと相手にも届いています。
これからも、無理のないペースで、あなたとご本人にとって
心地よいケアを続けていけますように。
応援しています。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
[PR]参考
- 「認知症の方の口腔ケア・手順を解説」ALSOK
- 「認知症患者への口腔ケア」長寿科学振興財団
- 「認知症と口腔ケアの関係性・歯磨きの重要性とケアのポイント」SOMPOケア
- 「高齢者の口腔ケアとは?手順やトラブル対処法」ヤマシタ
- 「口腔ケア」ナース専科






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