実家の介護を一人で背負う娘たちの現実

介護のお悩み

こんにちは。

「介護」と聞くと、少し距離のある話のように感じる方もいるかもしれません。

けれど、日本の高齢社会を生きている私たちにとって、

親の介護はある日突然“自分ごと”としてやってくることがあります。

特に、実家の親を一人で支えている娘さんたちの姿は、周りからはなかなか見えにくく、

本人も声を上げづらい現実があります。

今回は、「実家の介護を一人で背負う娘たちの現実」をテーマに、

具体的な風景や気持ちを交えながらお話ししていきたいと思います。

このブログの優しい気持ちをイメージする画像

ある日、突然始まる「親の介護」

介護は、準備して始まるものばかりではありません。

例えば、お母さんが転んで骨折をしてしまった、

お父さんが軽い脳梗塞で入院して退院後はサポートが必要になった…。

そんな風に、“昨日までは元気だった親”が、

一気に「介護の必要な親」に変わる現実があるのです。

「これからどうしたらいいの?」と途方に暮れながらも、

病院のベッドの横に座っているのは、多くの場合、娘さんです。

兄弟がいても、遠方に住んでいたり、自分には仕事があるからと距離を置いたりして、

「とりあえず長女に任せよう」となるケースは少なくありません。

「長女だから」という見えないプレッシャー

日本の家庭には、まだまだ「長女が面倒をみるもの」という空気感が残っています。

誰も口には出さなくても、親戚や近所の人の視線にそういう期待がにじんでいたりしますよね。

本人にとっては「やっぱり私がやらなきゃ」という気持ちが強くなり、

自然と生活すべてを介護中心に切り替えていかざるを得なくなります。

そのとき心の奥に芽生えるのは、愛情だけではありません。

親に恩返しをしたい気持ちもあるけれど、

「どうして私だけが?」という小さな不満も確かに存在します。

この矛盾した気持ちが、娘さんたちを静かに苦しめていくのです。

親の介護を一人で担うことに困惑する長女のイメージ画像

介護と仕事、そして自分の生活との両立

例えば、週5日フルタイムで働いていた人が、親の介助のために時短勤務に変えたり、

場合によっては退職せざるを得なくなったりします。

経済的な不安はもちろん大きいですが、それ以上に

「自分の人生が親の介護だけになってしまうかも」という不安が重たくのしかかります。

仕事を辞めれば収入は減りますし、再就職の道も年齢が上がるほど難しくなります。

それを理解しながらも、「でも親を一人にはしておけない」と踏み出してしまう娘さんたち。

頭の中では「将来どうなるんだろう」と警鐘が鳴り続けているのに、

実際には目の前の介護に追われる毎日で精一杯です。

孤独と責任感の狭間で

介護を一人で担っていると、とにかく孤独です。

他の兄弟や家族から「ありがとう」と言われても、どこか“丸投げされた感覚”は消えません。

また、介護の仕方を相談できる人が身近にいないと、不安や悩みを心にため込んでしまいます。

介護は「体力」と「知識」と「気持ちの余裕」がすべて必要になる仕事です。

ところが一人で抱え込むと、この3つがどんどんすり減っていきます。

体力は疲れで削られ、調べてもわからない制度にイライラし、

気持ちの余裕は日に日に薄れていく…。

そんな日常を、全国の多くの娘さんたちが過ごしているのです。

心の中で揺れ続ける“愛情”と“しんどさ”

親の介護を続ける娘さんたちが一番苦しいのは、

実は身体の疲れよりも「心の矛盾」かもしれません。

「親のことは好きだし、できる限り支えたい」

しかし、「こんなに自分ばかり負担しているのは不公平だ」。

この気持ちが交互にあらわれ、まるで波にさらわれるように心を揺さぶっていきます。

しかも、この気持ちは簡単に人に打ち明けられません。

少し愚痴をこぼせば、「自分の親でしょ?」「親不孝だ」と言われるんじゃないかと怖い。

だからこそ、娘さんたちは笑顔で「大丈夫だよ」と取り繕ってしまう。

傍からは明るく見えても、実際には心の奥で涙をこらえる毎日なのです。

親の介護について様々な気持ちが入り交じる長女のイメージ画像

兄弟との関係性がギクシャクする現実

本来であれば、兄弟で力を分担して支えるのが理想です。

でも実際には、長女にすべてがのしかかるケースが多いですよね。

たとえば「自分は仕事が忙しいから」と兄や弟は遠回しに責任を避けたり、

「同居してるのはお姉ちゃんだから」と妹たちが距離を置いたりする。

結果的に、誰も悪気はなくても「一人に集約」されてしまうのです。

さらにやっかいなのが、「介護の仕方」について外から意見だけしてくるパターン。

「もっとデイサービスを入れたら?」「施設を探せばいいじゃない」――

簡単に言うけど、その手続きや説明をすべて担うのは結局世話をしている人。

精一杯やっている側からすれば、助言ではなく“口だけ出されている”と感じてしまい、

ありがたさより苛立ちが募ることもあるのです。

「自分の時間」が消えていく感覚

介護をしている人の多くが口にするのが、「一日が全部親で埋まっていく」という感覚です。

朝起きて食事をつくり、服薬確認、病院の付き添い、トイレや入浴のお手伝い、夜の見守り…。

気づけば自分がゆっくり座っている時間は数分程度。

静かにお茶を飲む余裕もないまま、一日が終わってしまいます。

友達からランチに誘われても断ることが続くし、趣味や楽しみの時間はどんどん後回しに。

大げさでなく「自分の人生を休止しているような感覚」になることがあります。

そんな状態が長く続くと、笑顔が減り、気持ちが塞ぎ込み、

最悪の場合“うつ”の入り口に立ってしまうことも少なくありません。

周囲からの「見えにくい評価」

また、介護を一人で担う娘さんたちは、周囲から正しく評価されにくいという現実もあります。

「親孝行してて偉いね」と褒められる一方で、「専業主婦だからできるんでしょ」

「働いてないなら介護くらい当然」と無意識に軽くみられてしまうこともあるのです。

しかし実際には、介護は仕事以上の責任と労力を伴います。

24時間気を抜けず、相手は自分で選べる上司や部下ではなく、自分の親。

感情のぶつかりやすさも全然違います。

「外の人からは理解してもらえない」「誰も私の疲れに気づいてくれない」――

そんな思いが娘さんたちをさらに孤独にしていきます。

“介護うつ”という落とし穴

厚生労働省の調査や様々な研究でも、

介護を担っている人はうつ状態に陥りやすいことが報告されています。

睡眠不足、ストレス、そして先の見えない不安。

これらが積み重なることで「自分なんか消えてしまいたい」

という思いにまで至ってしまう場合もあるのです。

もちろん、誰も最初からそんな思いを抱くわけではありません。

ただ、支援を受けられずに孤立してしまうと、愛する親の世話で疲れ果て、

自分自身を失っていく危険がある。

それが一番の問題なのだと思います。

親の介護を一人で頑張って、うつになってしまった長女のイメージ画像

「一人でやらなくてはいけない」という思い込み

これまでのお話でお伝えしてきたように、実家の介護を担う娘さんたちは、

知らず知らずのうちに自分を追い込んでしまう傾向があります。

その背景には、「家族だから自分がやらなければ」「他の人を頼るのは甘え」

という思い込みがあります。

でも実際には、介護は一人でできるものではありません。

親を思う気持ちと同じくらい、自分を大切にすることが必要です。

「私しかいない」と気負うよりも、「私もサポートの一部でいい」と思えた方が、

親との時間をもっと温かく過ごせるようになります。

制度やサービスを知ることから始めよう

介護保険や地域包括支援センター、ケアマネジャーという存在を知るだけで、大きく変わります。

 ・デイサービスで日中を過ごしてもらう

 ・訪問介護で一部を任せる

 ・ショートステイで数日間休ませてもらう

これらを組み合わせることで、「家族の介護=24時間張り付き」ではなくなります。

日本では「介護サービスはお金がかかる」というイメージが強いですが、

実際には介護保険を使えば自己負担は1〜3割が基本です。

すべてを自分でやり続ける体力や気力を思えば、サポートを使うことは“贅沢”ではなく

“必要経費”と言えると思います。

周囲に「助けて」と言える勇気

兄弟や親戚との間で摩擦があっても、

「私ひとりでは大変だから、あなたもお願いできる?」と率直に言葉に出すことは大事です。

はっきり口にしない限り、「自分は呼ばれていないから大丈夫」

という雰囲気が続いてしまいます。

頼られるとき、人は意外と力を発揮してくれるものです。

また、地域の友人やご近所に「今日は病院行くから付き添いお願い」

と軽く声をかけるのもひとつの方法です。

人に頼ることは弱さではなく、介護を続けるための知恵なんですよね。

自分をケアすることの大切さ

介護は「相手をケアする」ことですが、支える側も“セルフケア”なしでは続けられません。

 ・短い時間でも好きなお菓子を味わう

 ・お気に入りの音楽を聴く

 ・日記に気持ちを書き出す

こういった小さな工夫が、心のバランスを守る大事な習慣になります。

完璧にやろうとしないことも重要です。

たとえ親の食事が多少手抜きでも、「一緒に過ごせている」ことが一番の愛情。

娘である自分がつぶれてしまったら、本末転倒ですからね。

セルフケアも大事だよというイメージの画像

社会全体で考える視点

最後にお伝えしたいのは、こうした介護の現実は「個人の問題」ではなく

「社会全体の課題」だということです。

高齢化が進む中で、親の介護を単独で担う娘が苦しむ構図は、

決して一部の人だけの話ではありません。

これからの時代、誰にでも起こり得ることです。

だからこそ、職場や地域が「介護をしている人を理解し、

サポートする」姿勢を持つことが大切です。

介護休暇制度の活用、在宅勤務の柔軟性、

そして何より「一人で頑張らなくていい」と伝える社会の空気。

これらが広がることで、娘たちの孤独は少しずつ軽くなっていくはずです。

おわりに

「実家の介護を一人で背負う娘たちの現実」――

それは、日本中のあちこちで、今日も静かに起きている問題です。

もし今、あなたが同じような立場にあるなら、どうか心に留めてください。

「自分の幸せを後回しにしなくてもいい」ということ。

そして、介護は家族全員、社会全体で分かち合うものだということ。

頑張り屋の娘さんたちが、少しでも心を軽くして親との時間を過ごせますように..。

この記事があなたの肩の力を抜くきっかけになれたら嬉しいです。

いつも応援しています。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

介護中の食事の準備は、毎日の大きな負担ですよね..。

たまには自分の時間をいつもより多めにつくってみませんか?

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参考・出典

  • 「親の介護を長女や一人っ子がするときの基本!直面する3つの不安と解消法 」 Caresul
  • 「家族介護者の負担・ストレスに留意を 」都健康長寿医療センター
  • 「家族をケアする:毎日の生活という文脈での家族介護を考える」 – 東京都健康長寿医療センター

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