こんにちは。
今日は、介護をしている中で誰もが一度は感じる
「もう無理!」「なんで私ばっかり!」という、
心の中がパンパンにふくれてしまう瞬間についてお話ししていきたいと思います。
朝から同じ質問を繰り返されたり、夜中に何度も起こされたり、
こちらが疲れ果てているときに限って予定外のハプニングが起きたり…。
頭では「仕方ない」と分かっていても、心は「限界だよ!」と叫び出しそうになる。
そんなとき、「怒ってはいけない」「もっと優しくしなくちゃ」
と自分を責めてしまう人も多いですが、 まず知ってほしいのは、
感情が爆発しそうになるのは、あなたが悪いんじゃないんです。
介護は体力も気力も削られる長距離レースみたいなもの。
どんなに優しい人でも、どんなに忍耐強い人でも、感情が揺れるのは自然なことなんです。

1.なぜ感情が限界に達してしまうの?
感情のコントロールがうまくいかないとき、そこにはいくつかの背景があります。
⚫︎睡眠不足や疲労の蓄積
— 身体が疲れ切っていると、小さな出来事にも敏感に反応しやすくなります。
⚫︎「自分だけ頑張っている」感覚
— 家族や周囲からのサポート不足や、感謝の言葉がない状態が続くと、
孤独感や不公平感が増します。
⚫︎罪悪感と自己否定のループ
— 怒りを感じた自分を責め、その罪悪感がまたストレスになる…という悪循環です。
これらは決してあなた一人が抱えているものではなく、多くの介護者が経験しています。
だからこそ、「あ、今の自分は疲れすぎてるな」と気づくサインにしてほしいんです。

2.感情が爆発する前にできる、小さな習慣
ここで紹介するのは、気持ちを無理に押さえ込むのではなく、
ふっと肩の力を抜けるような、日常に取り入れやすいコツです。
❶. 「今の気持ちに名前をつける」習慣
頭に血がのぼるときや、心がモヤモヤでいっぱいのとき、 一度立ち止まって
「これは怒り」「これは悲しみ」「これは不安」と 自分の感情に名前をつけてみましょう。
これは心理学でも「ラベリング」と呼ばれる方法で、
言葉にするだけで感情が少しおとなしくなります。
不思議なことに、「あ、私、今イライラしているんだな」と認めた瞬間、
その怒りが“自分そのもの”ではなく、“自分の中に一時的にある感情”
として扱えるようになります。
❷. 深呼吸をゆっくり3回
「そんな簡単なことで?」と思われるかもしれませんが、
深呼吸には自律神経を整える効果があります。
できれば、息を吸うよりも吐く時間を長くしてみてください。
例えば「4秒吸う → 6秒吐く」を3回。
これだけで心拍数が少し落ち着き、怒りのピークをやわらげることができます。
❸. その場を15秒だけ離れる
介護中は「離れられない」と感じることが多いですが、
例えば水を飲みにキッチンに行く、窓から外の景色を見る、洗面所で手を洗うなど、
ほんの15秒〜30秒でも「今の状況」から離れる時間を作ってみましょう。
これも脳に小さな休憩を与える効果があります。
感情は波のように一番高いところを過ぎれば少しずつ落ち着くので、
「一度ピークをやり過ごす」ためにも短い離脱は有効です。

3.習慣を続けるコツと、日常で気持ちを守る仕組み
次は、「せっかくなら心にやさしい習慣を続けたい」という方へ、
続けやすくなるちょっとした工夫や、日ごろからできる“心の予防習慣”を
一緒に考えてみたいと思います。
「続けられない自分」を責めなくていい
いろんな方法を知ったけれど、実際にやってみようとして
「やり方を忘れてしまった」「毎日はできなかった」と感じる人は とても多いです。
そんなとき、ぜひ心の中で「今日はできなかったけど、明日またちょっとだけやってみよう」と
やさしく自分に声をかけてみてください。
完璧を目指さなくて大丈夫。
できなかった自分を叱らず、できた日の自分に「よくやったね」と褒める習慣が、
実はいちばん大切です。
“感情が爆発しそうなときに、そっと自分に寄り添う”
—これが、介護の現場でも 心の折れない強さになっていきます。
「こっそり一人の時間」も生活に組み込む
介護は、予測不能な出来事の連続ですよね。
「今日はゆっくりできるかな」と思ったときに限って呼び出されたり、
急な体調変化があったり…
心も体も張りつめてしまう日が続くと、 どうしても心が疲れてしまいます。
だからこそ、「1日の中で、ほんの数分だけでも、自分のためだけの時間」を
“予定”として入れてみるのをおすすめします。
・好きな音楽を1曲だけ聴く
・温かい飲み物を静かに味わう
・部屋の隅で10回ゆっくり深呼吸する
あなた自身が「私は自分を大事にしている」と感じられることが 大切なんです。
「誰かに話す」習慣も心の負担を減らします
もし、信頼できる友人や家族がいれば、
週に1回でも 「今週はこんなことがあって、ちょっとしんどかった」と話してみましょう。
何もアドバイスをもらわなくても、「うんうん、そんなこともあるよね」と
共感してもらうだけで、心の荷物がぐっと軽くなります。
もし身近に誰もいなければ、自治体や介護支援の窓口につながるのもひとつ。
「こんなことで悩んでいいのかな?」と遠慮しなくても大丈夫。
当事者だからこそ、思いを吐き出せる人は必ずいます。
不思議ですが、“言葉にしてみる”“自分を認める”というちょっとした習慣で
翌月には爆発する回数が少しずつ減っていったりするんです。
「感謝のリスト」で心のポジティブ貯金を
もうひとつ大切にしてほしい習慣は「毎日、感謝できることを1つだけ書き出す」です。
どんなに大変な日も、
「今日はお天気が良かった」「お茶をゆっくり飲めた」「無事に一日が終わった」—
どんな小さなことでも構いません。
実際にノートやスマホにメモするのでもOKです。
この“小さな感謝の積み重ね”が、しんどい時に心を守る力になります。

「自分の味方になれる習慣」が、介護を支えてくれる
介護の現場には「人に優しくしなきゃ」「怒っちゃいけない」という
無言のプレッシャーが多いですが、まずは自分自身の味方になること。
これが、心が折れそうな時の最大の支えです。
これまで紹介した習慣はすべて「気分が良い時だけ」「できる時だけ」でOK。
一つでも、何日かでも、あなたらしく取り入れてみてくださいね。
4.「限界かも…」と思ったときのサインと助けの求め方
「心が本当に限界かもしれない」と感じたときに気づけるサインや、 周囲との助け合い方につい
てお話しします。
心の限界サインは、小さな変化から
感情が爆発する前には、必ず心と体に「前ぶれ」があります。
・眠いのに眠れない、または寝すぎてしまう
・ちょっとした物音にも過敏に反応してしまう
・笑顔や会話が減ってきた
・好きだったことに興味がわかない
・「なんだかずっと疲れている」感覚がある
これらは体や心が「休ませて」と発しているサインです。
つい「忙しいから」と受け流してしまいますが、 この時に立ち止まることが、
後の大きな不調を防ぎます。

助けを求めるのは弱さではなく“力”
多くの日人にとって、いちばん難しいのは「助けて」と言葉にすることです。
でも、 助けを求めることは、自分や相手を守るための“力”なんです。
こんなふうに頼ってみても大丈夫です。
・家族に「30分だけ見ていてくれる?」とお願いする
・ケアマネジャーに「最近つらいです」と正直に話す
・地域のボランティアやデイサービスの一時利用を検討する
たった30分でも、「休めた」という体験は心に大きな余裕を生みます。
「自分を守るための境界線」を持つ
介護では、相手のペースや予定に合わせることが多く、
つい自分の時間や気持ちを後回しにしてしまいます。
でも、心を守るためには“境界線”も大事なんです。
・夜は○時以降は休む時間にする
・月に1回は介護から離れる日をつくる
・できないことは「できない」と言う
最初は罪悪感を感じるかもしれませんが、 これらはわがままではなく、
介護を続けるための大切なルールです。
周囲と「助け合う関係」を育てる
こちらが頼るだけでなく、
時には「ありがとう」を返すことも 関係性を温かく保つポイントです。
お礼の手紙やメール、小さな差し入れでも構いません。
「あなたに助けてもらってありがたかった」という気持ちを伝えることで、
相手も「また力になりたい」と思ってくれる可能性が高まります。

最後に:あなただけじゃないよ
介護は時に孤独で、感情が限界を超えそうになることもあります。
でも覚えていてください。
あなたが感じた怒りや悲しみは、
同じように感じてきた人が必ずいて、分かち合える場所があります。
もし今日の記事の中で「これならできそう」と思える習慣があれば、
ひとつだけでも試してみてください。
介護はマラソンのような長い道のりです。
走り切るためには、途中で息を整える休憩が必要です。
そのための小さな習慣や助け合いが、きっとあなたの力になります。
この記事があなたの心を軽くするきっかけになればうれしいです。
今日も、本当におつかれさま。
いつも応援しています。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
参考・出典
- 厚生労働省「みんなのメンタルヘルス総合サイト」
- 厚生労働省「心と体のセルフケア:腹式呼吸を繰り返す」
- 介護者メンタル協会「介護に疲れた時、心が軽くなるヒント」
- MCSエンサンブル「介護うつを徹底解説」
- TOTEC見守りライフ「グリーフケア・グリーフシェアとは」
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