こんにちは。
今回は「これから介護を始めるけれど、何から手をつけていいかわからない…」
という方に向けた、在宅ケアのはじめの一歩をテーマにしています。
この記事はこんな方におすすめです:
⚫︎親やパートナーの介護が急に始まることになった
⚫︎在宅で介護する予定だけど、何から準備すべきか不安
⚫︎道具や環境、制度なども含めて“最初にすべきこと”を知りたい
この記事では、そんな初心者さんでも迷わず取りかかれる3つの基本を分かりやすく解説します。

1.まずは「心の準備」と「家族での役割分担」から
在宅介護は、長期戦になることも多く、“気持ちの備え”が何よりも大切です。
介護は“ひとりで背負わない”が基本
介護という言葉は“誰かを助けること”ですが、助け合うことでもあります。
最初に「誰が何をするか」を家族や関係者で話し合いましょう。
家族で役割分担をしておくと安心
・日々の見守り:誰がメインで対応する?
・食事・排泄・入浴などの介助:どこまでできる?
・通院・買い物などの外出支援:車が使える人は?
・書類・制度の手続き:得意な人にお願い
「うちは母が世話、私は病院・書類係で分担してます」
そんな風に、お互いの得意不得意を尊重するのもポイントです。
感情の共有が介護疲れを防ぐ
「今日ちょっと疲れたかも…」とつぶやける環境があるだけで、介護はぐっとラクになります。
“気持ちを言える関係”を日頃からつくっておくことが、実は何よりの準備になります。

2.安全な住まいづくりが在宅ケアの土台
自宅での生活を支えるには、ちょっとした環境の工夫が命を守ることにつながります。
つまずき・転倒のリスクは“日常の中”に
・敷居や段差をスロープや解消プレートでフラットに
・トイレ・浴室・ベッドサイドに手すりを設置
・暗い廊下やトイレには夜間用のLEDライトを
・滑りやすいマット・コード類は思いきって撤去
「母が夜トイレに起きて転倒。それから常夜灯をつけるようにしました」
小さな工夫が大きな事故を防ぎます。
自治体の住宅改修・福祉用具制度を活用しよう
手すり設置や段差解消のための工事は、
介護保険の住宅改修制度で費用の一部を補助してもらえることがあります。
また、ベッドや歩行器などの福祉用具は、“レンタル”という手段もあるので、
まずはケアマネジャーや地域包括支援センターに相談してみましょう。

3.介護グッズは“使いこなせるもの”を選ぶ
介護用品は「良さそう」「便利そう」だけで選ぶと、結局使わなかったり、
逆にストレスになることも…。
介護グッズ選びでよくある失敗
・ベッドが大きすぎて部屋に入らなかった
・操作が難しくて使わなくなった
・本人が使い方を怖がって避けてしまう
選ぶときのポイント
・実物を見てから決める(展示場・ショールームの見学)
・家の間取りや本人の動作をイメージしながら選ぶ
・購入よりレンタルで試してみるのも手
・使い方の説明を一緒に聞く(家族全員で共有)
・「車いす、押すのは簡単だけど、家のドア幅に合わず買い替えに…」
そんな失敗も、事前に専門家に相談していれば防げます。
4.もしもの備えも忘れずに
在宅介護では、「万が一」に備える準備もとても大切です。
緊急連絡リストを作っておこう
・家族・主治医・訪問看護師・ケアマネジャー
・救急・119番・かかりつけ薬局
・近所の支援者を1名
紙に書いて冷蔵庫や玄関に貼っておくと、救急隊にも見つけてもらいやすく安心です。
薬の管理・急変時の対応
服薬の管理や、「急に様子が変わった」ときの対応は、
訪問看護師やかかりつけ医との連携がカギになります。
本人が薬を飲んだか不安なときは、「服薬チェック表」を作っておくと安心です。

5.介護の“わからない”はプロに聞こう
「これで合ってるのかな?」という気持ちは、初心者の誰もが感じるものです。
地域包括支援センターを活用しよう
全国の市区町村に設置されている「地域包括支援センター」では、
介護に関する相談を無料で受け付けています。
・介護保険制度のこと
・利用できるサービスの種類
・申請の方法や必要な書類
・困ったときの相談先
補足:「まだ早いかも」と感じていても、地域包括支援センターは早めに相談してOKです!
「そのときが来たらまたどうぞ」と言ってくれます。
ケアマネジャーとの関係づくり
要支援・要介護と認定されたら、
ケアプラン作成を担当してくれるのがケアマネジャー(介護支援専門員)。
どんなサービスを組み合わせるか、費用の見通し、
家族の希望などを話し合える“介護の伴走者”のような存在です。

6.介護者自身のセルフケアも“準備のうち”
在宅ケアでは、介護する側の体と心を守ることがとても大事です。
介護者が疲れてしまうと、支えることが続かなくなる
・完璧を目指さない
・疲れたら声に出す
・「週に1回は自分の時間」と決めておく
「毎週水曜の午前中は、私の“カフェタイム”って決めてます」
自分にやさしくできる時間が、介護を長く続ける力になります。
サービスの利用=甘えではない
デイサービスやショートステイを使うことに「申し訳ない」と感じる方も多いですが、
“頼れるところは頼る”のが在宅介護の基本です。
遠慮なくプロの手を借りましょう。
7.初心者にありがちな“落とし穴”とその対策
・全部ひとりで抱えこむ → 家族や専門家と「チーム介護」を意識しよう
・知識がないまま道具を買いそろえる → 必ずケアマネや福祉用具専門員に相談
・つい我慢してしまう → 小さな不安こそ声に出して共有しよう

8.まとめ:最初の3つが整えば、きっと大丈夫
在宅介護は、最初にどれだけ準備ができるかで“その後の安心感”が大きく変わります。
今回の3つの基本、振り返り
⚫︎心の準備と家族での役割分担 → “無理なく”続ける土台づくり
⚫︎住まいの安全対策 → 転倒や事故を防ぎ、安心な日常へ
⚫︎必要な道具の準備と正しい使い方 → 本人も家族も使いやすい環境へ
このあと、次にできることは?
・地域包括支援センターでサービスの相談をする
・介護保険の申請について調べる
・デイサービスやショートステイの見学をしてみる
すべてを一度にやろうとしなくて大丈夫。一歩ずつで、いいんです。
このブログでは、これからも初心者さんに寄り添った“やさしい介護情報”を発信していきます。
いつも応援しています。
最後まで読んでくださってありがとうございました。
参考・出典
- 厚生労働省「在宅介護の実態と支援体制に関する報告書」
- NHK福祉ネットワーク「はじめての在宅介護~家族の心構えと役割分担~」
- 東京都福祉保健局「自宅での安全な住環境づくり」ガイド
- 日本福祉用具供給協会「転倒予防と住宅改修のポイント」
- 厚生労働省「福祉用具と住宅改修制度の手引き」
- 認知症介護研究・研修仙台センター「“わからない”を支える専門職との連携」
コメント