こんにちは。
「介護サービスを受けたいけど、お金のことが心配…」
そんな声をよく耳にします。
特に、在宅介護でも施設介護でも、月々の自己負担額がかさむと「これからずっと続くのかな…」
と不安になってしまいますよね。
でも、そんなときに知っておいてほしいのが「高額介護サービス費」という制度。
これは、介護サービスの自己負担額がある一定の金額を超えた場合に、
その超えた分が戻ってくる仕組みなんです。
この記事では、仕組みや対象になる人、申請方法などを、やさしく丁寧に解説していきます。

高額介護サービス費とは?
高額介護サービス費とは、
公的介護保険を使って介護サービスを受けた際に支払った自己負担額が、
月の上限額を超えた場合、その超過分が後から払い戻される制度です。
「高額医療費制度の介護版」とイメージすると、ちょっと分かりやすいかもしれません。
介護は継続的にかかる支援なので、負担が続くと家計にも大きな影響が…。
そんなとき、少しでも経済的な支えになるのがこの制度です。
対象になる介護サービスは?
この制度の対象になるのは、次のような「介護保険の自己負担分」です。
- 訪問介護(ホームヘルプ)
- 通所介護(デイサービス)
- 短期入所(ショートステイ)
- 施設入所(特養や老健など)
ただし、次のような費用は対象外です。
- 食費・居住費(施設サービスなど)
- おむつ代や日用品などの実費
- 保険適用外のサービス費用
つまり、
「1割(または2〜3割)負担した部分のうち、上限を超えた金額が戻ってくる」制度なんですね。
いくらまで負担すれば戻ってくるの?
戻ってくるかどうかは、世帯の所得や介護保険の負担割合によって異なります。
上限額は、主に次のように区分されます(2025年時点の例):
区分 | 上限月額 | 対象者の目安 |
---|---|---|
第1段階 | 15,000円 | 生活保護受給者等 |
第2段階 | 24,600円 | 市町村民税非課税の世帯 |
第3段階 | 44,400円 | 市町村民税課税世帯(年収が一定以下) |
第4段階 | 多数回該当でさらに軽減 | 過去12ヶ月で4回以上該当した場合 |
所得や課税状況によって、戻ってくるかどうかが決まるので、
まずは自分や家族の状況を確認することが第一歩です。
制度の仕組みをイメージで理解しよう
たとえば、Aさんが1ヶ月でデイサービスに約8万円分通ったとします。
そのうち、自己負担が2割なので16,000円だったとしましょう。
そして、Aさんの上限額が15,000円だった場合…
→ 差額の「1,000円」が、後日払い戻されるんです。
たった1,000円?と思うかもしれませんが、これが毎月続けば年間で1万円以上の差になります。
それに、状況によってはもっと大きな金額が戻るケースもあります。
次では、実際の申請方法や、申請しなくても自動的に払い戻されるケースについても
詳しく見ていきますね。

申請って必要?自動で戻ってくるって本当?
「申請が面倒そう…」と思われがちですが、実はこの制度、
申請不要で自動的に振り込まれるケースが多いんです。
ただし、これは介護保険の「世帯単位で同一自治体に住んでいる場合」や、
マイナンバーとの紐付けが済んでいるといった条件が満たされているときだけ。
以下に該当する場合は、申請が必要になることがあるので注意が必要です。
- 世帯の中に転入者・転出者がいる
- 市区町村をまたいで家族が住んでいる
- マイナンバー情報の提供に同意していない
自動払い戻しの流れ(何もしなくていいパターン)
まず、自分が住んでいる自治体で自動払い戻しの対象かどうか確認してみましょう。
自動の場合の流れはこんな感じです。
- 介護サービスを利用(1〜3割の自己負担)
- 自治体が介護給付費をチェック
- 上限を超えていた場合、自動で払い戻し
- 振込通知書が自宅に届く
だいたいサービスを受けた月の2〜3か月後に、振り込まれることが多いです。
(自治体によって前後あり)。
申請が必要なケースと手続き方法
もし申請が必要なケースに該当した場合、次のような書類を準備しましょう。
申請に必要なもの
- 高額介護サービス費支給申請書
- 本人確認書類(運転免許証、健康保険証など)
- 口座情報が分かるもの(通帳など)
- 印鑑(必要な自治体もあり)
申請の流れ
- 市区町村の介護保険課に問い合わせ・申請書をもらう
- 必要書類をそろえて提出
- 審査の後、支給決定通知が届く
- 口座に払い戻し金が振り込まれる
基本的には、1年間の時効があるので、払い戻しの対象になるかも?と思ったら、
なるべく早めに確認・申請するのがおすすめです。
実際に戻ってくる金額って?
たとえば、ある月に介護サービスをたくさん使って、自己負担が60,000円になったとします。
でも、その人の上限額が44,400円だった場合、
差額の15,600円が戻ってくるということになります。
このように、負担が多い月ほど制度のありがたみを実感することになります。
そして忘れてはいけないのが、「同一世帯の合算」も可能という点です。
世帯内の合算もできる!
高額介護サービス費は、同一世帯に複数の要介護者がいる場合、
世帯単位で合算して上限を判定できます。
たとえば、
- 父:自己負担20,000円
- 母:自己負担30,000円
→ 合計50,000円。
もし世帯の上限額が44,400円なら、5,600円が払い戻しされることになります。
「自分の負担はそこまで多くないけど、家族も介護を受けている…」という場合でも、
制度の対象になるかもしれません。
次は、よくある誤解や「高額医療合算制度」との違いについて、やさしくお伝えしますね。
よくある誤解①:「介護サービスのすべてが対象になる」?
よくある誤解のひとつが、
「介護にかかったお金なら、全部戻ってくるんでしょ?」という思い込み。
でも実は、介護保険サービスの自己負担分しか対象になりません。
たとえば、次のような費用は対象外です:
- デイサービスや施設の食費・おやつ代
- 居住費(家賃にあたる部分)
- おむつ代・日用品などの実費
- 介護タクシーの自費分など
つまり、
「介護保険の給付対象サービスの自己負担額」だけがカウントされるということなんですね。
よくある誤解②:「収入が多いと全然対象にならない」?
「うちは年金もそこそこあるから、こういう制度は対象外よね…」
と思っている方もいらっしゃいます。
たしかに、所得が高い場合は上限額も高くなるのですが、
サービス利用が多ければ戻ってくる可能性もあります。
また、世帯合算によって払い戻し対象になるケースもあるので、
あきらめずに市区町村に確認するのがおすすめです。
高額医療・高額介護合算制度との違い
ちょっとややこしいですが、「高額介護サービス費」と似た制度に、
高額医療・高額介護合算制度があります。
この制度は、1年間の医療費と介護費の合算が、
世帯ごとの限度額を超えた場合に払い戻しがあるというもの。
違いのポイント
制度名 | 対象となる期間 | 対象となる費用 | 申請の有無 |
---|---|---|---|
高額介護サービス費 | 1か月 | 介護保険サービスの自己負担 | 基本的に不要(例外あり) |
高額医療・介護合算制度 | 1年間 | 医療+介護の自己負担合計 | 原則、申請が必要 |
こちらは医療保険と介護保険を横断する仕組みなので、別途申請が必要なことが多いです。
該当しそうな場合は、健康保険組合や市区町村の窓口で確認してみましょう。

まとめ:知らなきゃ損!高額介護サービス費
高額介護サービス費は、介護が長く続く人ほど大きな味方になってくれる制度です。
「なんだか複雑そう…」と感じるかもしれませんが、
・多くの人は自動で払い戻し
・自分が対象かどうかは市区町村が確認してくれる
・もし申請が必要でも、難しい書類はなし
と、思っているよりハードルは高くありません。
これから介護が長くなりそうな方へ
介護は、体力も気力も、そしてお金も必要になります。
だからこそ、こうした制度をうまく活用しながら、
無理なく続けられる環境を整えることがとても大切です。
「少しでもラクになってほしい」 「安心して介護を続けてほしい」
そんな思いで、今回は高額介護サービス費についてお届けしました。
不安な方は、ぜひ市区町村の介護保険課に相談してみてくださいね。
やさしい制度は、きっとあなたの力になってくれるはずです。
いつも応援しています。
最後まで読んでいただいてありがとうございました。
参考・出典
- 厚生労働省「高額介護サービス費支給制度について」
- 東京都福祉保健局「介護保険における費用負担軽減制度」
- 内閣府「高齢社会白書(介護にかかるお金)」
- All About介護「申請しないと損?高額介護サービス費制度」
- 全国健康保険協会「高額介護サービス費制度について」
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