こんにちは。
今日は、介護の現場でもよく耳にする「回想法(かいそうほう)」についてお話しします。
最近ではデイサービスやグループホームなどでも取り入れられることが多く、
認知症の方とのコミュニケーション方法として注目されています。
「回想法」とは、その名の通り「昔の思い出を語ること」を通じて、
心の安定や自尊心を取り戻す心理療法の一つです。
例えば、子どものころの遊びや学生時代の思い出、若いころの仕事や家族の話などを、
穏やかに話してもらうことで、脳を刺激しながら心を落ち着ける効果があるんです。
難しい方法ではなく、
介護する方が日常の中で自然に取り入れられるケア方法のひとつなんです。

回想法がもたらす3つの効果
回想法を行うと、認知症の方にどんな良いことがあると思いますか?
では、代表的な効果を3つ紹介していきますね。
① 記憶を刺激して脳の働きを保つ
昔のことを思い出そうとすることで、脳のさまざまな部分が活性化します。
特に、認知症の初期の方にとって「短期記憶より長期記憶のほうが残りやすい」
という特徴があります。
昔の話題に触れることで、「ああ、そういえばあんなこともあったね」と穏やかに話が弾み、
自然と笑顔が増える方も多いんです。
② 自分らしさを感じられる
認知症が進むと「できないこと」に意識が向きやすくなりがちですが、
回想法では「過去にできたこと」「頑張ったこと」を振り返ります。
そのため「私にもちゃんとできたことがあった」「昔はこんなふうに働いていた」と、
自分に誇りを持てる時間が増えるんです。
これが心の安定にとても大切なんです。
③ コミュニケーションが円滑になる
介護する側にとっても、昔話を聞くことは相手をよく知るきっかけになります。
「昔はお祭りで太鼓を叩いてたんだ!」「若いころは看護婦さんをしてたのね」など、
相手の人生を知ることで、会話が自然に広がります。
これが信頼関係を深める大きな助けになるんです。
どんな話題を選べばいいの?
実際に回想法を始めてみようと思ったとき、「何を話すか」で迷うこともあると思います。
おすすめは、「五感を刺激する話題」や「その人の体験に結びつくもの」を選ぶことです。
- 子どものころの遊び(竹馬、メンコ、かくれんぼなど)
- 季節の行事(お正月やお盆、運動会の思い出)
- 昔の歌やラジオ番組
- 当時の食べ物(おにぎり、だご汁、手作りおやつなど)
- 仕事や家庭での出来事
こうした話題を通じて、その人が歩んできた人生を一緒にたどっていくような気持ちで関わるのが
ポイントです。
[PR]回想法を実践する5つのステップ
回想法は特別な資格がなくても、ご家庭の中で取り入れることができます。
では、実際に行うときの基本的な流れを5つのステップで紹介しますね。
① 落ち着いた雰囲気を作る
まずは、認知症の方がリラックスできる空間を整えましょう。
テレビの音を消したり、人の出入りが少ない場所を選ぶなど、静かで安心できる環境が理想です。
「一緒にお茶でも飲みながらお話しましょうか」と、自然に始めるのもおすすめです。
② 話題のきっかけを用意する
昔を思い出す“きっかけ”があると話しやすくなります。
古い写真、雑誌、昔の道具(アイロンやおもちゃなど)、流行歌の音楽などを使うと、
会話が自然に広がるはずです。
「この写真、どんな時のもの?」と優しく聞いてあげて下さい。
台所で昔ながらの料理を一緒に作るのもおすすめです。
食べ物の香りや味が昔の記憶を呼び覚ますこともあるんです。
思い出を語ることが、“つながり”を温める素敵な時間にもなりますね。
③ 無理に思い出させない
思い出せない内容を無理に聞き出そうとすると、かえって混乱や不安につながることもあります。
本人が話せる範囲で、ゆっくり聞き役に回るのが大切です。
「そうだったんだ」「すてきな思い出だね」と共感の言葉を添えると安心感が生まれますよ。
④ 話を丁寧に受け取る
話の内容が多少事実と違っていても、否定したり訂正する必要はありません。
回想法の目的は「事実を正すこと」ではなく、「心の安定と満足感を得ること」なんです。
“ゆっくり聴く”姿勢が信頼関係を深めるコツです。
⑤ 会話のあとを大切にする
話が終わったあと、「今日はたくさん話せてうれしかったよ」
「また続きを聞かせてね」と伝えてあげて下さい。
その言葉が「また話したい」という前向きな気持ちにつながります。
もし話した内容が印象に残るエピソードだったら、介護記録にメモしておくのもいいですね。
回想法のときに注意したいポイント
回想法はとても良い効果がありますが、やり方を間違えると逆に負担になることもあるんです。
本人の表情や反応をよく観察しながら行うようにして下さいね。
① 辛い思い出を避ける
戦争や災害、家族との別れなど、つらい過去に触れると心がかき乱されてしまう方もいます。
「話したくなさそう」「目が曇ったような表情」などが見られたら、
すぐに違う話題に切り替えて下さい。
② 一度に長くやりすぎない
集中力が続かない場合もあるので、最初は10分〜15分くらいで切り上げるのが目安です。
無理に引き延ばすより「また次に続きを話そうか」と余韻を残す方が効果的です。
[PR]介護者にも嬉しい「回想法」の効果
回想法の魅力は、介護する側にも良い影響があるところなんです。
- 新しい一面を知ることができる
話を通じて「こんなに頑張ってきたんだ」とその人の人生への理解が深まります。 - 会話がしやすくなり、介護のストレスが減る
話題が増えることで関係がスムーズになり、日常のケアも穏やかになります。 - 「その人らしさ」を支えるケアにつながる
過去の経験や価値観を知ることで、より本人に寄り添った支援ができるようになります。
介護を「お世話をする時間」だけでなく、「その人の人生を聴く時間」として過ごせるのは、
とても豊かな経験になるのではないでしょうか。
最後に: 思い出を語ることが「今」を支える
回想法は、特別な技術ではなく「心で寄り添うケア」です。
昔を思い出すことで、人は「今の自分」への安心を取り戻します。
認知症ケアにおいて、言葉以上に大切なのは「共に笑い、共に思い出を感じること」です。
その人の物語を大切にしながら、今日も優しい時間を過ごせたら素敵ですね。
もし実践する機会があれば、気負わずに「ちょっと昔の話、聞かせて〜」と
ひと言声をかけてみて下さい。
その瞬間から、あたたかい会話が生まれるかもしれません。
応援しています。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
参考
- 「回想法とは」健康長寿ネット
- 「回想法とは」NHK回想法ライブラリー
- 「回想法とは/テーマ・手法・正しく実践する方法を紹介」介護のほんね
- 「いきいきとした心を取り戻す回想法」LIFULL介護
- 「回想法とは」学研ココファン




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