こんにちは。
今回は、「認知症の親に対して、つい責めてしまう自分がつらい…」という深い悩みに寄り添いながら、一緒に感情との向き合い方を考えていきます。
責める自分を責めず、優しさと理解で心を軽くするヒントを丁寧にお届けします。
なぜ「責めてしまう」の?その心のプロセスを知る
親を責めてしまう感情は、ただ「我慢が足りない」「冷たい人間」だからではありません。
そこにはいくつもの心の背景が隠れています:
- 疲労やストレス:介護中の負担、睡眠不足、他の家事との両立など、心が限界に近づいているとき。
- 愛情からの焦り:親にもっと「普通」に応えてほしい、元に戻ってほしいという思い。
- 無力感や混乱:どうしてうまくいかないのか、対応方法が見えなくて戸惑う。
- 罪悪感:「怒ってしまった自分がひどい…」と、自分を責めるループに入ってしまう。
まずは「責めてしまう自分」は悪者じゃない。全て、疲れた心が反応しているんです。

ステップ①:自分の気持ちを受け止めよう
つらいとき、自分の感情をまず言葉にすることが大切です。以下の方法を試してみましょう:
- 「今、自分は悲しい」「疲れている」「もう限界かもしれない」と独り言でも言葉にする。
- 日記やメモでもOK。「今日、怒ってしまった。その理由は…」と簡単に書いてみる。
- 信頼できる人に話して共感してもらう。誰かに聞いてもらうことで自分を許せる瞬間が生まれます。
ステップ②:「セルフコンパッション」を取り入れる
セルフコンパッションとは、自分に対する思いやりのこと。
心がつらいときほど、自分に優しく接してあげる練習が役立ちます:
- 「私は頑張っている」と自分に声をかける。
- 「介護って本当に大変。誰でも疲れるよ」と、自分をよそおい優しく包む。
- 心がほっとする時間を意図的に作る(お茶タイム、好きな音楽、散歩など)。

ステップ③:思考のクセに気づく&切り替える
「また怒ってしまった私はダメな人間だ」と、思考がぐるぐるすることありませんか?
そんなときは:
- 「思考はただの考え。『私はダメ』ではない」と自分に言い聞かせる。
- 「できていない」という否定ではなく、「今は練習中」と柔らかく言い換えてみる。
- 一歩離れた視点で、「友人だったらどう答える?」という問いかけで視野を広げる。
ステップ④:サポートを受ける勇気を持つ
一人で頑張るのは、負担も大きいし、苦しい。
誰かの助けを借りることは、弱さではありません:
- 家族や友人に「今日はちょっと代わってほしい」と素直に頼む。
- 地域包括支援センターやケアマネジャー、介護支援者と相談して支援を検討。
- 介護者サポートグループやオンラインコミュニティで同じ気持ちを共有。
「誰か助けて」と言えることは、むしろ自立した強さの証です。
ステップ⑤:具体的対応の工夫を重ねる
親への接し方に気持ちが揺れるなら、対応中の工夫も取り入れてみましょう:
- 短い休憩をはさむ→怒りをリセット。深呼吸や席を外すことで気持ちが落ち着きます。
- 言葉がくどくならないよう、ゆっくり・簡潔な伝え方を心がける。
- 視覚的なサポート(メモ・カレンダー・時計・写真)で安心感UP。
- 環境を整える(騒音を減らす・安心できる音楽・温かい飲み物の準備など)。
- ユーモアや笑いを取り入れ、和やかな空気をつくる。

ステップ⑥:小さな成功を見逃さない&祝う
「今日は怒らなかった」「ゆっくり話せた」「笑顔が出た」…そんな小さな進歩に目を向けて、心をほめてあげましょう。
- 日記に「今日は〇〇できた」と書いて自分を励ます。
- 家族で「今日の良かったこと」を共有する時間を作る。
- 好きな飲み物や一口スイーツで、自分をねぎらうご褒美タイム。
ステップ⑦:親との関係を“今のかたち”で受け入れる
かつての親と今の親…その違いに戸惑い、悲しさや怒りが湧いてくるのは、当然のことです。
でも、その気持ちも少しずつ整理していけます。
- 「昔のように話ができない」と悲しむ代わりに、「今の表情を大切にする」ことを意識する。
- 「もうわかってくれない」と決めつけず、「伝えようとしてみる」ことを続ける。
- 関係性を“更新”する気持ちで、新しいかたちの関わり方を探していく。
今の親の姿に“がっかり”する日があっても、関係性を諦める必要はありません。
むしろ、変わったからこそ育める優しさもあるのです。

ステップ⑧:長く向き合うための「自分軸」を持つ
介護や感情の起伏に飲み込まれないようにするには、「自分軸」を持つこともとても大切です。
- 「私が大切にしたい介護ってどんなかたち?」と自問してみる。
- 周囲と比べず、「私は私」と一歩引いて考える練習。
- 介護以外の時間(趣味・読書・会話など)を持ち、人生のバランスを取る。
介護が生活のすべてになってしまうと、見失うものも増えます。
自分の人生の“軸”を持つことで、揺れにくい心が少しずつ育っていきます。
「親のため」ももちろん大事。でも「自分の人生のために」という視点も、もっともっと大事です。
よくある質問と回答(FAQ)
Q:「責めてしまう自分が嫌になる…どうすればいい?」
A:最初に「つらい」と感じただけで、自分の感性は正常です。
つらさを感じる人こそ、優しさと責任感を持って向き合っている証です。
Q:「親にどう接したらいいのか分からない」
A:完璧を求めなくて大丈夫。ゆっくり、少しずつ、自分ができるペースで。
対応は「変化しながら育つもの」です。
Q:「支援って何から始めれば?」
A:地域包括支援センターへの電話相談から。
無料で話を聞いてくれて、方法や制度への導線を案内してくれます。

まとめ:責める気持ちも、自分へのねぎらいに変えていこう
親を責めてしまった後、自分がまた責める…そんな無限ループから脱するためには、「セルフコンパッション」「味方になる視点」「小さな工夫」が欠かせません。
そして何より、「あなたは一人じゃない」。
同じ気持ちを抱える人もたくさんいるし、助けてくれる場所も必ずあります。
自分を大切にしながら、一歩ずつ歩んでいきましょう。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
参考・出典元
- Note「誰にも言えない介護の本音 ― 感情を認めることから始まるケア」 ─ 介護者が「親を責めたくなる」「本音が言えない」と抱え込む様子と、感情を受け止める重要性について臨床経験から詳細に解説。
- ウララカ相談室「セルフコンパッションとは?自分を思いやるワークの実践方法」 ─ ネガティブな感情を受け止め、自分に優しくする方法(セルフ・コンパッション)の効果と具体的実践法を紹介。
- 日本心理学会ジャーナルクラブ「セルフ・コンパッションの理論と実践」 ─ 他者への共感を自分にも向けるセルフ・コンパッションの定義と、心の健康への好影響について論じられています。
- note「孤独死現場の第一発見者となってしまった!?その後のケアの仕方」 ─ ケア現場で自分に共感しケアする方法としてのセルフ・コンパッションの考え方が紹介されています。
- ウィキペディア「ケアギバーストレス」 ─ 慢性的な介護ストレスが抱える不安・抑うつ・怒りの原因となる仕組みや、身体・精神への影響が解説されています。
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