こんにちは。
今日は認知症とそのお薬について、みなさんと一緒に考えてみようと思います。
「薬で落ち着くってどういうこと?」
「認知症の薬って、どんな効果があるの?」
「副作用は大丈夫なの?」と、疑問や不安を感じている方も多いのではないでしょうか。
身近な家族に認知症の人がいると、いつも「これでいいのかな?」と悩みも多いと思います。
今回はそんな方のために、調べたことをわかりやすくお伝えしていきますね。

1.物忘れが気になり始めたら……
認知症って聞くと「記憶がどんどん無くなってしまう」というイメージが強いかもしれません。
でも実際は、ちょっとした「あれ?」「なんだっけ?」が最初のサインだったりします。
例えば、「ご飯を食べたことを何度も聞いてしまう」とか、
「約束を忘れてしまう」といったことが度重なる。
最初は家族も、「年のせいかな?」と見過ごしてしまうことが多いですよね。
でも、こうした日々の変化がだんだん大きくなっていくと、やっぱり心配になります。
「専門の医師に診てもらったらどうだろう」と思うけど、どんな検査をするのか、
お薬を勧められたらどうしよう……と不安がつのります。
2.認知症の診断後、お薬はどう使われるの?
認知症と診断されると、「薬を飲みますか?」とお医者さんから提案されることがあります。
最近は、認知症の進行を緩やかにしたり、症状を和らげたりするお薬がいくつかあります。
日本でよく使われている認知症治療薬は、「ドネペジル(商品名:アリセプト)」をはじめ、
「リバスチグミン(商品名:イクセロンパッチ、リバスタッチパッチ)」や
「ガランタミン(商品名:レミニール)」、「メマンチン(商品名:メマリー)」
などがあります。
まずは定番のお薬「ドネペジル」の話から始めましょう。
ドネペジルは1999年から日本で使われているお薬で、
主にアルツハイマー型認知症の方に使われます。
簡単に言えば「脳の神経同士のやりとりを、ちょっと助けてくれるもの」
と説明されることが多いです。

3.認知症治療薬の目的って?
認知症の症状を「治す」薬、というよりは、
「進行をゆっくりにする薬」
「困った症状(例えば怒りっぽさ、不安感など)を和らげる薬」
と考えた方が近いかもしれません。
もちろん、飲み始めてみると「会話が戻ってきた!」「笑顔が増えた!」
という嬉しい変化を感じるケースも少なくありません。
でも、その効果の表れ方や、続く期間には個人差があります。
また、薬を飲んだ方全員に目立った改善が起きるとは限りません。
そこが、家族としては一番もどかしい部分かもしれませんね。
4.副作用ってやっぱり心配……?
どんなお薬にも副作用のリスクはゼロではありません。
認知症治療薬でも、やっぱり心配のタネです。
例えばドネペジルの場合、「吐き気」「下痢」「食欲減退」「不眠」「筋肉のけいれん」
などが時々報告されています。
ただし、これらは「よくある」と言うほど頻繁ではなく、
「体がびっくりしてるサインかな?」と思って、様子を見ながら続ける場合も多いです。
どうしても副作用が強い場合は、薬を減らしたり、変更したり、
別の薬に切り替えることも可能なので、遠慮なく医師や薬剤師さんに相談しましょう。

5. よく使われる認知症治療薬、その選び方
認知症と診断されると、医師から薬の提案があるかもしれません。
「でも、どの薬が一番いいの?」と聞かれることがありますが、
どれも「その人に合ったものを」「症状に応じて」使います。
⚫︎ドネペジル(アリセプト)
日本で最も有名なお薬です。
軽度から中等度のアルツハイマー型認知症やレビー小体型認知症にも使われます。
「もの忘れ」よりも「理解力」「会話の流れ」など、
毎日の生活全般を少ししっかりさせる効果が期待されます。
⚫︎リバスチグミン(イクセロンパッチ/リバスタッチパッチ)
貼り薬タイプです。
「飲み薬が苦手」「食欲が落ちている」方にも使いやすいのが特徴です。
胃腸への負担もわりと少なめです。
⚫︎ガランタミン(レミニール)
軽度から中等度のアルツハイマー型認知症に。
副作用が出にくいとも言われ、じんわり穏やかに効く印象があります。
⚫︎メマンチン(メマリー)
中等度から重度のアルツハイマー型認知症に多く使われます。
他の薬だけでは不安定な場合に併用されることもあります。
「怒りっぽさ」「徘徊」「興奮」のような行動の改善目的でも処方されます。
どの薬も「魔法の薬」ではありません。
でも、その人の困りごと(たとえば落ち込み、不安、イライラ、混乱など)
に合わせて選んでいくことで、「家族で穏やかに暮らせる時間」がちょっと増える。
そんな期待を込めて使われているのです。

6. 家族が語る、薬を使い始めたときの気持ち
周囲の介護家族からよく聞くのは、
「薬に頼ってもいいのか」「もっと副作用が強くなったらどうしよう」という不安。
でも、「薬を始めてみて、全体的な落ち着きが出た」「怒りっぽさが減った」
「突然の混乱が少なくなった」という声も多いです。
アリセプトを始めてから、些細なことでパニックにならず、
話しかけた時に「うん」と返事が返ってくるようになったりする一方で、
飲み始めて数日で「ちょっと食欲が落ちた」「お腹が緩くなった」など、
小さな体調変化もあるようです。
先生や薬剤師さんと「合っているか」相談しつつ、少しずつ調整することが大切です。
7. 副作用をしっかりチェック!無理せず相談を
認知症治療薬は、開始してすぐに合わないと感じた場合
(吐き気、ふらつき、興奮が強くなるなど)は我慢せず早めに相談しましょう。
特にご高齢の方は、薬の体内での動き(代謝・排泄など)が、
若い人と比べてゆっくりになる傾向があります。
また、実際の経験では「薬を変えたら調子が上向いた」
「貼り薬にしたら家族も本人も楽になった」など
それぞれの工夫で成功できた例もたくさんあります。
「もう薬はダメかも…」と思っても、一度やめてまた別の方法を探したり、
再チャレンジすることもOKです。
介護の現場では「本人と家族の快適さ」が最優先。
気負わず、「合うものを、無理なく続ける」スタンスでいきましょう。
8.薬だけじゃない!生活の工夫でできること
治療薬はあくまで「手助け」にすぎません。
日々のコミュニケーションや生活習慣を整えることも、とっても大切なんです。
⚫︎決まった生活リズム
朝起きる時間、ご飯、散歩、寝る前の儀式……
なるべく毎日同じリズムをつくるだけで、気持ちや体調が安定します。
⚫︎会話やふれあいの時間を増やす
「今日はどんな気分?」だけでもOK。
たわいもない話が、本人も家族も気持ちを楽にしてくれます。
⚫︎好きな音楽や趣味を一緒に楽しむ
懐かしい歌、好きだった手芸、写真アルバムめくり……
楽しい時間を共有することは、心の栄養になります。
⚫︎環境を整える
物の場所を分かりやすく決める、危なくないように片付けるなど、
安心できる空間づくりも大切です。

9.薬と上手に付き合うためのQ&A
Q. 薬を忘れずに飲むコツは?
家族みんなで「飲み終わったら箱のふたを閉める」「服薬カレンダーを貼る」など、
小さな仕組み作りが有効です。アラームやメモも活用しましょう!
Q. 副作用が心配になったらどうする?
「合わないかも」と感じたら、迷わず主治医や薬剤師さんへ相談を。
「薬をやめてもいいですか?」とストレートに聞いてみても大丈夫です。
無理せず調整し、本人がつらくない選択を考えましょう。
Q. 他の薬との飲み合わせは大丈夫?
高齢者の方は持病でいろんな薬を飲んでいることも多いので、
「全部書き出して医師に見せる」「薬局で相談する」と安心です。
中には組み合わせに注意が必要な薬もあります。
Q. 効果が実感できない時は?
「すぐにはハッキリ分からない」「あれ?前より良い?」くらいの変化の場合も多いです。
無理に続けなくてもいいので、2~3カ月様子をみて判断しましょう。
家族みんなで「いい変化」を記録しておくと、小さな進歩を見逃しにくくなりますよ。
10.まとめ:あせらず、その人に合った方法を
認知症のお薬は、「これひとつで全部解決!」というものはありません。
ご本人やご家族の「快適さ」や「安心」が一番大事です。
「薬に頼ることは悪いことじゃない」「合わなかったらまた違う方法を探そう」
そんな気持ちで、のんびりお付き合いしていくのがいいのかもしれません。
少しずつでも、おうちでの時間が穏やかに流れますように――。
いつも応援しています。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
参考・出典
- 厚生労働省「認知症施策の現状と課題」
- 日本老年精神医学会「認知症における薬物療法ガイドライン」
- 日本認知症学会「認知症診療ガイドライン」
- 公益社団法人 認知症の人と家族の会「認知症の薬について知っておきたいこと」
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「アルツハイマー型認知症と薬物治療」
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