こんにちは。
コロナ禍以降、急速に広がった在宅ワーク(リモートワーク)という働き方。
通勤がなくなり、家庭での時間が増える一方で、
「仕事と介護をどう両立させるか」という新たな課題に直面している方が増えています。
一見すると、時間に融通のきく在宅ワークは介護と相性がよさそうに思えますが、
実際には、
「会議中に親から呼ばれて集中できない」
「1日中気が張りっぱなしで、仕事も介護も中途半端になる」
「ひとりになれる時間がまったくない」
そんな悩みの声も少なくありません。
この記事では、在宅ワークと介護の両立に悩む方のために、
リアルなスケジュール例や両立のコツ、
心をすり減らさないための工夫などを分かりやすくご紹介します。

1. 在宅ワークと介護が重なる現実
「自宅で働けるなら、親の介護もできるはず」
そんな思いで始めた在宅ワーク。
しかし現実は、そう簡単ではないことに気づく人が多いのです。
在宅ワーク×介護の主な悩み
- Web会議中に呼ばれる/中断される
- 1日の予定が組みにくく、仕事の効率が下がる
- 介護中の緊張状態が常に続き、疲れが取れない
- 「誰にも頼れない」「自分だけで何とかしないと」という孤立感
外で働いていた頃は「家にいられたらもっとできるのに」と思っていたのに、
いざ家にいると「逃げ場がない」と感じてしまう…。
そんなジレンマも多くの人が抱えています。

2. 両立できる?向き不向きのチェックポイント
在宅ワークと介護を両立できるかどうかは、いくつかの条件や環境に左右されます。
まずは自分の状況がどうなのか、客観的にチェックしてみましょう。
① 介護の必要度(介護度)
要介護1〜2くらいまでであれば、ある程度は仕事と並行可能。
ただし、トイレや移動の介助が多い場合はこまめな中断を覚悟する必要があります。
② 仕事の内容と柔軟性
・フレックス制度や納期ベースの仕事 → 両立しやすい
・リアルタイムの電話対応や接客業務 → 両立はやや困難
③ 外部支援の有無
デイサービス、訪問介護、同居家族など「サポートしてくれる人・仕組み」があるかどうかで、
心の余裕は大きく変わります。
④ 住環境や部屋の配置
作業スペースと介護スペースが別に確保できるかどうかも、集中力に影響します。
3. 1日のスケジュール例(要介護2・デイサービス併用)
【事例】40代女性・在宅ワーカー/母(要介護2)と同居
介護保険を活用してデイサービスを週5日利用しながら、
在宅でWebデザインの仕事をしている方のスケジュールです。
6:00〜7:30 起床・朝食準備・母のトイレ介助と着替え
8:00〜9:00 母をデイサービスに送り出す/仕事準備
9:00〜12:00 業務集中(Zoom打合せ・作業)
12:00〜13:00 昼食・家事・休憩
13:00〜15:30 作業再開(デザインチェック・修正作業)
16:00 母帰宅・バイタル確認・水分補給
16:30〜18:00 母とのコミュニケーション/軽介助
18:00〜21:00 夕食・入浴・就寝準備
21:00〜22:30 夜の作業・翌日の準備
ポイント:
午前〜午後前半までが仕事に集中できる“ゴールデンタイム”。
この時間に優先業務を片づけ、午後の時間帯は介護を優先するよう調整しているそうです。
4. 1日のスケジュール例(要介護4・在宅フルケア)
【事例】50代男性・フリーランスライター/父(要介護4)と二人暮らし
外部サービスは訪問入浴のみ。生活全般を支える必要がある中、
夜間に作業を集中させているケースです。
5:00〜7:00 起床・オムツ交換・朝食介助・洗濯
7:30〜9:00 口腔ケア・着替え・ベッドまわり整備
9:00〜10:30 メール対応や記事の構成など軽めの業務
11:00〜13:00 昼食準備・介助・片付け
13:00〜15:00 父の仮眠中に集中して執筆作業
15:00〜17:00 体位変換・お茶・声かけ・排泄対応
18:00〜21:00 夕食・入浴介助・就寝準備
21:30〜24:00 執筆作業や校正作業(静かな時間帯を活用)
ポイント:
自分の「思考が深まる時間帯」に合わせて、
夜間にクリエイティブな作業を行う工夫がされています。
日中は中断を前提にタスクを細分化しているのも特徴です。
このように、介護度や家庭の事情によってスケジュールは大きく異なりますが、
どのケースにも共通しているのは、
“完璧を目指さず、時間の使い方を柔軟に考える”というスタンス。

5. 両立のためのリアルな工夫
① タスクを“ブロック化”する
集中力が途切れやすい在宅介護中は、「午前中は事務系」「午後はクリエイティブ作業」など
時間帯ごとにタスクを分けることで、精神的な切り替えがしやすくなります。
② タイマーで区切って集中
短時間集中型の「ポモドーロ・テクニック」(25分集中+5分休憩)
を導入する人も増えています。
数分でも“自分の時間”を意識的に作ることでストレスの蓄積を防げます。
③ 家事を外注する勇気
宅配弁当、お掃除ロボット、家事代行などを取り入れて“手放す選択”も大切です。
「ちゃんとやらなきゃ」を減らすことで、心と時間のゆとりが生まれます。
④ ケアマネジャーに「仕事がある」と正直に話す
「介護で精一杯です」と言っても、「在宅で働いてる=時間がある」と誤解されやすい現実。
ケアマネさんにも仕事の内容と状況をしっかり共有しましょう。
サービス調整に大きく役立ちます。
6. 限界を感じたときの対処法
「もう無理かも…」そんな風に感じる日は、誰にでもあります。
・相談できる人がいない
・どこにも逃げ場がない気がする
・“自分だけ”が頑張ってると感じる
そんなときこそ、以下の方法を試してみてください。
地域包括支援センターに相談する
介護者の相談窓口として、気軽に利用できる場所です。
気持ちの整理や制度の提案を受けられることも。
SNSやオンラインコミュニティで共感を得る
「同じ境遇の人がいる」と知るだけで、孤独感はやわらぎます。
「今日は頑張らない日」をつくる
あえて“何もしない日”をつくることで、心と体がリセットされ、
再び動き出せるエネルギーが戻ってきます。

7. まとめ:完璧じゃなくていい、続けられる形を
在宅ワークと介護の両立には、“正解”がありません。
それぞれの生活、仕事、介護スタイルに応じて、やり方は十人十色。
でも共通して言えるのは、「全部ひとりで背負わなくていい」ということ。
完璧を目指すより、少しでも“今日を乗り切る”ことの方が大切です。
あなたは十分がんばっています。
心から「お疲れさま」を届けたいです。
がんばりすぎない。
でも、あきらめない。
そんな日々を、あなたらしいペースで歩んでいけますように。
いつも応援しています。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
参考・出典
- 厚生労働省「仕事と介護の両立支援制度の概要」
- 内閣府「少子高齢化社会白書 令和5年度版」
- 公益財団法人 介護労働安定センター「介護と就労の両立に関する調査結果」
- 独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構
- 厚生労働省「介護離職ゼロに向けた取り組み」
- 日経DUAL「共働きと親の介護 両立のリアル」特集記事
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