こんにちは。
今回は「同じことを何度も聞かれたときの対応」について、優しさと理解を大切にした心構えを一緒に学んでいきましょう。
介護・家族・日常の中で、きっと役に立つ内容になっていると思います。
なぜ“繰り返し質問”が起こるの?その背景を知ろう
同じことを何度も聞かれると、「しつこいな」「さっき言ったでしょ」とイライラしてしまうこともありますよね。
でも、そこには理由があることが多いんです。
- 短期記憶の低下:認知症や加齢で、ついさっきの会話を忘れてしまうことがあります。
- 不安や心配:話を確認して安心したい気持ちがある場合も。
- 自分が聞き取れなかった:耳が遠くて聞き返している場合もあります。
- 気持ちのサイン:寂しさや誰かとつながりたい気持ちの表れであることも。
まずは「なぜ繰り返すのか?」を理解することが、対応の出発点です。

対応の心構え① 感情を受け止める・共感する
「また同じこと聞いてる…」と思っても、心の中で「ちょっと待ってね」をかけてみて。
怒る前に、まずは優しい声かけを。
- 「聞き直したくなったのかな?大丈夫、ゆっくりでいいよ」
- 「もう一回確認したいだけ?全然いいよ」
こんな一言で、本人の気持ちが落ち着き、安心感が生まれます。
対応の心構え② 言葉をそっと調整して伝える
繰り返しを防ぐためには、こちらの話し方にも工夫が必要です。
ポイントはわかりやすく、短く、はっきり伝えること。
- ゆっくり・はっきり話す
- 要点を一つに絞る(例:「午後2時から薬の時間だよ」)
- 声のトーンを柔らかく保つ
(ちなみに、早口で言われると「え?なに?」って混乱することもあります)
対応の心構え③ 視覚的なサポートを活用しよう
記憶や聞き取りが難しいとき、言葉だけで伝えるのは限界があります。
そんな時に役立つのが、視覚的なヒントです。
- ホワイトボードに予定を書く
- メモを貼って、必要なときに読めるようにする
- 時計やイラストを使ってわかりやすく
「目で見てわかる」情報があると、繰り返しが減りやすくなります。

対応の心構え④ 安心できる環境を整える
本人が不安を感じやすい場面を減らすことで、そっと確認したくなる気持ちも少なくできます。
- 賑やかすぎない静かな環境づくり
- 時間や場所がわかるものを常備(カレンダー・時計)
- 安心できるもの(写真、ぬいぐるみなど)をそばに置く
対応の心構え⑤ ユーモアで緊張をほぐす
「またそれ?」を怒るのではなく、ちょっとしたユーモアを入れて対応することで、本人も周りもリラックスできます。
- 「2回目だね〜 特別割引料金は出るかな?」
- 「聞きたい気持ちは大歓迎!私、ナビ役がんばるよ」
笑顔とちょっとした冗談が、優しさを伝える魔法です。
対応の心構え⑥ 繰り返しにはメモと記録を活用
「またそれ?」と感じたら、メモ帳に簡単に書き留めてみましょう。
- 「なぜ何度も聞くのか」「どんな言い方だと効果的か」を記録
- 家族や介護者で共有し、安心できる対応法をチームで統一
記録は気づきを深め、対応に活かす助けになります。
対応の心構え⑦ 専門家に相談するのは早めに
繰り返し聞くことが増えたと感じたら、一度専門家の意見を聞いてみるのが安心です。
- かかりつけ医や認知症相談窓口に相談
- 地域包括支援センターへ連絡
- ケアマネジャーや認知症専門医がアドバイスをくれます
早めの対応で本人も家族も負担が小さくすみます。

よくある質問とその対応(FAQ)
Q:何度も聞かれるとイライラしてしまう…どうすれば?
A:まずは深呼吸して、心を落ち着けてから一呼吸置いて反応してみて。
「今は少し休憩しよう」と自分にもやさしく接してあげてください。
Q:毎回同じ言葉でいい?表現を変えたほうがいい?
A:同じ言葉でも大丈夫ですが、相手が聞き取りやすい調子(ゆっくり、穏やかに)がポイント。
たまに絵や写真を使うと理解が深まります。
Q:他の家族とも対応をそろえたいけど、どうやって?
A:対応ルールを簡単にメモ化し、冷蔵庫や目につく場所に貼っておくのがおすすめ。
家族会議で「今日はこうする?」と共有するのも◎。
実践ケース
例えば、あなたが「もう夕飯何だった?」と聞かれたとき。
- あなた:「夕飯はお魚定食だよ」(ゆっくりはっきり)
- 本人:「あれ、なんのお魚?」
- あなた:「今回はサバの味噌煮だよ。ほら写真見てみよっか?」(ホワイトボードの写真指さし)
- 本人:「ああ、そうだったね。ありがとう!」
こうして声かけと視覚サポートを組み合わせることで、一回で安心してもらえることも多いです。

まとめ:やさしさと柔軟さで心をつなごう
繰り返される質問には、本人の背景となる理由があります。
そして、対応には…
- 感情を受け止める共感
- わかりやすい伝え方
- 視覚的サポート
- 安心できる環境づくり
- ユーモアで気持ちをほぐす
- 記録とチーム対応
- 専門家への早めの相談
イライラせず、でもあきらめず。
小さな工夫とやさしさを重ねることで、お互いにとって穏やかな時間が生まれます。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
参考・出典元
- アルツハイマーズ・ソサエティ(イギリス)「認知症による繰り返し行動について」
- UCLAヘルス(アメリカ)「認知症ケアにおける繰り返し質問への対応」
- Family Caregivers Online(アメリカ)「認知症の繰り返し質問に対応する4つの方法」
- 米国国立衛生研究所(NIH)/PMC「繰り返しの質問は介護者を疲弊させる」
- カナダ・アルツハイマー協会「繰り返し行動の理解と対処法」
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