こんにちは。
「迷惑かけたくないから、介護はいらないよ」「自分のことは自分でやるから」――
高齢になった親から、こんな言葉を聞いたことはありませんか?
一見、自立心が強くてしっかりした印象を与えるこの言葉。
でも、その裏には、さまざまな思いや不安が隠れていることもあるのです。
この記事では、「迷惑をかけたくない」と言う親の心理を丁寧に読み解きながら、
家族としてどう向き合っていけばいいのかを、一緒に考えていきましょう。

「迷惑をかけたくない」の本当の意味とは
「迷惑をかけたくない」という言葉には、実にいろんな感情が込められています。
親自身のプライド、自立へのこだわり、そして子どもへの気遣いなど――。
特に長年家庭を支えてきた親ほど、「人の世話にならずに人生を終えたい」
と願う気持ちが強い傾向があります。
これは弱音を見せることが“迷惑”と結びついているからかもしれません。
でも、「迷惑」という言葉を使うことで、心の奥底にある「寂しさ」や「不安」が
うまく言葉にできず、感情が押し込められてしまっていることも多いのです。
[PR]親世代が抱えてきた価値観と時代背景
現在70代以上の親世代が生きてきた時代は、
「自分のことは自分で」「家族に迷惑をかけてはいけない」という価値観が根付いていました。
戦後の復興、高度経済成長期――家族のためにがむしゃらに働き、自分の気持ちは二の次。
そんな時代を生き抜いた人たちは、「助けを求めること=甘え」と捉える傾向があります。
そのため、介護を必要とするようになっても、「できるだけ誰にも頼らずに済ませたい」
「子どもたちに負担をかけたくない」という思いが、自然に口から出るのです。
でもそれは、本当に「誰にも頼りたくない」という意味ではないこともあります。
ただ、どう頼ったらいいのかわからない、
あるいは「頼ってもいい」と思えないだけなのかもしれません。
感謝と負い目のはざまで揺れる気持ち
親は、子どもたちが自分のために時間やお金を使うことに対して、ありがたいと感じつつも、
どこかで「申し訳ない」という気持ちを持っています。
「こんなことで仕事を休ませてしまっていいのかな」
「子どもには自分の人生を生きてほしいのに」
――そういった想いが重なり、つい「迷惑はかけたくない」という言葉になってしまうのです。
この言葉の裏には、「本当は頼りたいけど、我慢しよう」という気持ちが隠れている場合も
少なくありません。
親が言う「迷惑をかけたくない」は、愛情の裏返しであることが多いのです。
そこには、子どもを思う気持ち、そして今の自分の存在への不安が入り混じっています。
[PR]「放っておいて」=「気にかけてほしい」のサイン?
「ほっといてくれ」「大丈夫だから来なくていいよ」――
そんな言葉もまた、よく聞かれるフレーズです。
でも、本当に「ほっといてほしい」と思っているのでしょうか?
実はこの言葉の裏にあるのは、「気にかけてほしい」「声をかけてほしい」という、
親の心の叫びかもしれません。
長年“親”として子どもを守ってきた立場から、年齢とともに「してもらう側」に回るのは、
とても複雑な心境です。
だからこそ、「来なくていいよ」という言葉には、
「遠慮」や「照れ」が含まれていることもあります。
特に、かつて子育てや仕事をバリバリこなしていた親にとって、
「弱っていく自分」「人に頼らなければならない自分」は、
受け入れがたい現実だったりするのです。
言葉通りに受け取るのではなく、その奥にある気持ちを読み取ってあげることが大切です。
家族ができる寄り添い方とは
では私たち家族は、親の「迷惑かけたくない」という気持ちにどう向き合えばいいのでしょうか。
「迷惑じゃないよ」と伝える
まずは、親の言葉にしっかり耳を傾けつつ、「あなたの存在が迷惑なんて思ったことないよ」
と伝えることが大切です。
これは、口に出して何度でも伝えてあげてください。
親の中に根づいてしまった「迷惑をかけてはいけない」という価値観は、
優しい言葉の繰り返しによって、少しずつ緩んでいきます。
例えばこんなふうに言ってみるのも良いでしょう。
「頼ってくれるの、うれしいよ」
「一緒にいられる時間がありがたいよ」
「こっちも助けてもらってるよ、ありがとう」
お互いの立場を思いやる言葉のキャッチボールが、信頼関係を深めていきます。
[PR]“お願い”スタイルで頼ってもらう
「迷惑をかけたくない」と言う親に対して、
「ちょっとお願いがあるんだけど…」という言い方で、
あえてこちらから小さなお願いをしてみるのも効果的です。
「お漬物、また作ってくれる?」「お話、昔のこともっと聞かせて」――
そんな何気ないお願いが、親の「役割」や「存在意義」を感じさせてくれることがあります。
こうしたお願いは、「一方的に介護される側」から「役に立っている自分」へと
気持ちを切り替えさせてくれるのです。
自己犠牲にならない“距離感”を保つ
「親の気持ちを汲んであげたい」と思う一方で、家族が無理をしてしまっては本末転倒です。
大事なのは、「親の気持ちに寄り添いつつ、自分も大切にする」というバランス。
たとえば、訪問の頻度を「週に一回」など無理のないペースにしたり、
プロの介護サービスと連携して一部を任せるなど、「全部を抱え込まない」工夫が必要です。
その上で、「週1回は顔を見に行くね」と伝えておけば、親も安心できます。
お互いの心地よい距離感を探ることも、立派な「寄り添い方」です。
「迷惑」よりも恐れているもの
親が「迷惑をかけたくない」と言うとき、本当に恐れているのは“迷惑そのもの”ではなく、
「家族との関係が変わってしまうこと」や、「愛されなくなること」なのかもしれません。
たとえば、手を借りるたびに子どもが疲れていく姿を見ると、
「これ以上頼ると、嫌われるかもしれない」と感じてしまうことがあります。
また、自分が「手間のかかる存在」になったと思うことで、
自尊心が傷つき、孤独感に襲われることもあるのです。
そうした不安や恐れが、「迷惑かけたくない」という言葉に変換されていることを、
私たちは理解してあげる必要があります。
[PR]「迷惑をかけてもいい」と思える関係へ
「迷惑かけたくない」と言われると、つい遠慮してしまうこともありますが、
親にとって本当に必要なのは“迷惑をかけても大丈夫”と思える安心感です。
たとえばこんな言葉をかけてみてください。
「迷惑じゃなくて、むしろ一緒に過ごせるのがうれしいんだよ」
「迷惑って思ってるの、たぶんお母さんだけだよ」
「どんなときも、家族だもん」
こうした言葉は、親に「頼っていいんだ」という許可を与えます。
信頼と絆を再確認することで、親の不安も少しずつ和らいでいきます。
ゆるやかな時間を共に過ごす
介護というと、「世話をする」「支える」といった“行動”が主役になりがちですが、
何より大切なのは、ただ一緒に過ごす時間です。
親の望むことが、「にぎやかな介護」ではなく、
「そっとそばにいてくれること」である場合も多いのです。
何をするわけでもなく、一緒にお茶を飲んだり、昔話を聞いたり、季節の花を見に散歩する――
そんな些細な時間が、親にとっては何よりの安心になります。
その中で、親は少しずつ、「迷惑かけたくない」から
「一緒にいてくれてうれしい」へと心を開いていくかもしれません。
[PR]最後に
「迷惑かけたくない」と言う親の言葉には、さまざまな感情が絡み合っています。
プライド、不安、愛情、感謝、そしてちょっぴりの寂しさ――。
その一言だけを表面的に受け取るのではなく、その背景にある思いをくみ取り、
やさしく寄り添っていけたら、きっと親も「頼っていいんだ」と感じてくれるはずです。
そして、あなた自身が、“全部を一人で抱え込まないこと”もとても大切です。
支える側にとっても、「ちょっと疲れたな」と思ったときに、誰かに甘える勇気があっていい。
介護は、みんなで支え合っていくものです。
親も、子どもも、自分自身も大事にできる関係を、ゆっくり育んでいけますように。
応援しています。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
[PR]参考
- 厚生労働省「高齢者の介護に関する意識調査」
- 認知症介護情報ネットワーク「親の“頼れない気持ち”に寄り添う」
- 内閣府「高齢社会白書(高齢者の心の傾向と支援の必要性)」
- NHKハートネット「介護の現場から〜“迷惑かけたくない”という声の背景」
- 認知症介護研究・研修東京センター「介護する家族のこころ」







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