こんにちは。
一生懸命お世話しても、「ありがとう」のひと言もない…。
介護をしていると、そんな寂しさやもどかしさを感じることってありませんか?
言葉にして感謝を伝えてくれたら、がんばれる気がする。
でも現実は、そっけない態度やきつい言葉ばかり。
「私のこと、感謝なんてしてないのかな…」って落ち込んでしまうことも。
でも実は、「ありがとう」が言えない親にも、それなりの理由や心の背景があるんです。
このブログでは、そんな親の気持ちを少しずつ紐解きながら、
どう向き合えば心がすこし楽になるか、一緒に考えていけたらと思います。

1.「ありがとう」と言えない親の4つの心理
感謝を言葉にできない親の内側には、いくつかの共通する思いがあるようです。
①「世話をされる自分」が受け入れられない
かつては一家の大黒柱や家族の中心だった親世代。
「してもらう立場になる」ことに、どうしても抵抗がある人も多いです。
プライドが高いわけではなく、「頼ること」=「弱くなった証」と受け取ってしまう。
だから素直に「ありがとう」と言うのが、どこか負けたように感じてしまうのかもしれません。
②「ありがとう」と言ったら終わってしまいそう
「ありがとう」と言うと、何かが一区切りついてしまう気がして、言葉にできない人もいます。
とくに、心のどこかで「もう長くないかも…」と感じている方は、
感情を整理するのが怖くて、言葉を飲み込んでしまうのです。
③甘えたくても、うまく甘えられない
年齢を重ねても、親はいつまでも「親」でいたい。
そんな気持ちから、「ありがとう」や「助かってるよ」と素直に言うことが、
自分の立場を弱く見せるようで嫌だと感じてしまう方もいます。
本当は感謝していても、「親の顔」を保つために、あえて言わない…。
それも、親なりの誇りなのかもしれませんね。
④「迷惑かけてごめんね」と思っている
意外と多いのが、「ありがとう」の代わりに心の中で「ごめんね」と思っているケースです。
「娘に世話させて悪いな…」 「こんな体になって申し訳ない…」
そんな罪悪感から、あえて何も言わないことで、
気持ちのバランスを取ろうとしているのかもしれません。
つまり、感謝していないわけじゃない。
ただ、言葉にできない理由がそれぞれにあるんです。

でも、そうは言っても、
毎日がんばってる家族にとって「ありがとう」がないのはキツイですよね。
心の中では「感謝してるんだろうな」と思っていても、やっぱり言葉でほしいときもあります。
2.「ありがとう」がない…それでも頑張るあなたへ
毎日のお世話、介助、声かけ…。
ときには体力も、気力も限界近くて、ふとした瞬間に「ありがとう」のひと言を待ってしまう。
でも、期待しても返ってこない。
そんな日が続くと、「私は何のためにやってるんだろう」と心が疲れてしまいますよね。
①「言葉がない=感謝がない」ではない
まず知ってほしいのは、言葉にしない=感謝していない、ではないということ。
照れくさくて言えなかったり、自分の弱さを認めたくなくて言葉にできなかったり。
でも、心の中ではちゃんと「ありがたいな」と感じていることがほとんどです。
とくに高齢の方ほど、「ありがとう」や「ごめんね」を言い慣れていない人も多いもの。
昔の育ち方や、世代的な価値観も関係しているかもしれません。
②感謝の「かたち」は、言葉だけじゃない
ふと見せた笑顔。
おやつを分けてくれた。
「帰るの?」と寂しそうにした。
そんなさりげない行動にも、感謝や信頼の気持ちがにじんでいることがあります。
「言葉で返ってこないけど、ちゃんと届いてる」 そう思えたとき、
少しだけ心がほぐれるかもしれません。
③自分の気持ちを置き去りにしない
それでも、つらい日はありますよね。
「私ばっかり我慢してる…」
そんなふうに感じたら、一度立ち止まって、自分の気持ちを大事にしてあげてください。
・日記に思いを吐き出す
・信頼できる人に話す
・ときには泣く
我慢しすぎず、感情を外に出すことも心のメンテナンスになります。
④「ありがとう」が言える関係を育てていく
言葉がなくても、こちらから「ありがとう」を伝えることで、
相手の心も少しずつ開いていくことがあります。
「今日も一緒にごはん食べられて嬉しいね」
「ちょっと疲れたけど、お父さんの笑顔が見られてよかった」
そんな何気ないひと言が、相手の心に届いて、
いつか「ありがとう」と返ってくるかもしれません。

⑤「ありがとう」を期待しすぎない工夫
ついつい「ひと言くれたら頑張れるのに…」と思ってしまうときは、
自分の中で別の“ごほうび”を用意するのもひとつの方法です。
- 夜のスイーツタイム
- お風呂にゆっくり浸かる
- 好きなドラマを観る
「ありがとう」をもらう代わりに、自分で自分をねぎらう時間をつくってみてくださいね。
そして、次は「いつかきっと伝わる」そのときのエピソードや、
気持ちが通じ合う瞬間についてもお話ししていきます。
3.ある日、ふと感じる「伝わってる」の瞬間
「ありがとう」とは言ってくれない。
でも、ふとしたときに「あれ?今、なんだか伝わった気がする…」
そんな瞬間、ありませんか?
・お皿を一緒に運んでくれた
・手をつないできた
・見送りのとき、何度も手を振ってくれた
そんな行動のひとつひとつに、感謝や愛情のかけらが詰まっていることってあるんです。
言葉にするのは苦手でも、行動で示す人はたくさんいます。
とくに年配の方にとって、「ありがとう」を面と向かって言うのはとても照れくさいこと。
でもそんなひとつひとつが、親なりの「ありがとう」だったりします。
4.やっと届いた、あの日の「ありがとう」
何年も介護をしていて、はじめて「ありがとう」と言ってもらえた。
そんな話も、実は少なくありません。
たとえば…
「入院することになって、準備を手伝っていたとき。ふとした瞬間に『ありがとうな』って…
それだけで涙が出た」
言葉にしてくれるのに時間がかかる親もいます。
でも、言わないからって、伝わっていないわけじゃないんです。

5.それでも言ってほしいとき、どうしたらいい?
ときには、こちらの気持ちもちゃんと伝えてみてください。
「ありがとうって言ってもらえると、私も頑張れるよ」
「言葉がなくてもいいけど、ちょっと優しくしてくれると嬉しいな」
責めるのではなく、お願いとして伝えると、受け入れてくれることもあります。
親もまた、「素直になっていいんだ」と気づくきっかけになるかもしれません。
6.言葉がなくても、心はそばにある
「ありがとう」がない介護は、たしかにつらい。
でも、あなたのしていることは、必ず相手の心に届いています。
届いた想いは、いつか、言葉になったり、ふるまいになったりして返ってくる。
そう信じて、どうか自分を大切にしながら、今日も一歩ずつ進んでいってくださいね。
7.まとめ:「ありがとう」がなくても、愛はそこにある
介護を通じて見えるのは、言葉にできない想い。
「ありがとう」と言えないのは、不器用な愛情の裏返しかもしれません。
その奥にあるやさしさや寂しさを、ほんの少しでも理解できたら
きっと、あなたの心も少しだけ軽くなるはずです。
あなたの介護が、昨日よりも少し穏やかになりますように。
いつも応援しています。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
参考・出典
・厚生労働省「介護者支援の現状と課題」
・厚生労働省「高齢者の介護に関する意識調査」
・内閣府「高齢者白書」
・高齢社会白書(内閣府)「家族関係と感情の変化に関する統計」
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